うら若き乙女たちによるグランダム・ジャパン2歳シーズンのローレル賞。荒れるレースとして知られるが、一方で、6年前の勝ち馬ララベルを筆頭に、重賞戦線で活躍していく頼もしい面々が、勝ち馬として多く名を刻んでいる。
今年は、森泰斗騎手が騎乗した3番人気、サウスヴィグラスを父に持つケラススヴィア(浦和・小久保智厩舎)が快勝した。
ドリームチャレンジ2歳新馬ではスピードで押し切り、800メートルを47秒7(重)の好タイムで圧勝。続く特別戦では、2番手から早め先頭に立つ危なげない内容で、一気の距離延長も難なくクリアし、1500メートルを1分36秒6(重)でまたもや圧勝。
地元の浦和では圧倒的なパフォーマンスも、今回は初物尽くし。しかし、心配は無用で、このローレル賞で3勝目を挙げ、無敗の重賞ウイナーが誕生した。
レースは、北海道のセカイノホシや1番人気に推されていたナジャが前に行くと、それらを見る形でケラススヴィアは進めていった。結果的にはこの3頭が上位を独占。
「逃げてもいいと思っていましたが、周りの馬たちもテンのスピードがあって主張してきたので、今後のことを考えてその後ろで運びました。砂をかぶる競馬は初めてだったので戸惑うんじゃないかと心配しましたが、びっくりするくらい動じることなく走れていたので、いい競馬はできたと思います」と森騎手。
勝負所では前を行く2頭が後続を突き放しにかかるも、森騎手のステッキに応えてケラススヴィアも食らいついていき、外から並びかけていった。
「前に目標になる馬がいたので見ながら進め、3コーナーで出られるスペースが外にあったので、そこで出してゴーサインを送りました。前の馬はつかまえられそうな伸びだったので、あとは後ろから来ないでくれと思いながら追っていました。無限の可能性を持っている牝馬だと思います」
直線では、ケラススヴィアが一完歩ずつ力強く抜き去ると、2着のセカイノホシに2馬身差をつける快勝。1分42秒9は良馬場では過去最速のタイム。3着がナジャだった。
「スケールは大きい馬です。新馬戦の時からゴール前になるとまたスピードが上がっていくので、小さいのにどれだけの体力があるのでしょうね。賢い馬で、教えるとちゃんと理解をしてくれて学習能力はかなり高いです。負けるのは嫌なので、このまま勝ち続けて桜花賞に向かいたいです」と、小久保調教師もかなり惚れ込んでいる様子。
この後の具体的な予定についてはオーナーと相談して決めるそうだが、小久保調教師としては12月31日の東京2歳優駿牝馬を目指していきたいと言う。このまま無敗で来春の南関東牝馬一冠目に進んでいくのか?その先には何が見えるのか?今からとても楽しみだ。
Comment
森泰斗 騎手
素質が高く楽しみにしている馬なので、ひとつ重賞を勝たせることができてうれしいです。新馬戦で跨った時からいい馬だと思っていました。厩舎力が素晴らしいので、今日は当時よりもすごく進化しているなぁという印象です。今後は距離が延びても大丈夫な馬だと思いますし、期待は大きいです。
小久保智 調教師
マイナス体重は(浦和競馬場以外の)初輸送が響いたのかなぁと思いますが、状態自体はとても良くて、一戦一戦上がっています。乗り方に関しては騎手がよく知っているし、こっちは仕上げる方なので、特段言うことはなかったです。この馬は短距離の馬ではなくて中距離タイプかなと思っています。