グランダム・ジャパン2歳シーズンの一戦として新設され今年で5年目。第1回こそ地元馬が勝ったが、その後の3年は北海道からの遠征馬が勝利。第2回田中淳司厩舎、第3回角川秀樹厩舎、第4回小国博行厩舎。今年はその3厩舎から1頭ずつが遠征。さらに大井からも1頭が遠征してきた。
気合を入れて先行を試みたのは、大井のホーリーナイトキス。しかし8頭立ての大外、北海道のラブミーグッドの行きっぷりがよく、鞍上がそれほど仕掛けずともハナに立つ勢い。内のホーリーナイトキスも譲らなかった。
単勝1番人気はラブミーグッドだが、馬連複で1.8倍という人気を集めた2頭が互いに譲らず併走したまま向正面に入った。やや離れた3番手に地元のマナバレンシア、さらに離れて北海道のリスカルダメントと続き、そのうしろはさらに離れた。
3コーナー過ぎ、ホーリーナイトキスの江里口裕輝騎手が懸命に追っていたのに対して、ラブミーグッドの落合玄太騎手の手応えはまだ楽なまま。4コーナーで追い出されると、直線ではホーリーナイトキスを振り切って単独先頭へ。しかしゴール前、馬場の真ん中からマナバレンシア、さらにはリスカルダメントが一気に迫り、3頭が内外離れて並んでのゴール。
その差はわずかだったが、ゴールを過ぎたところでマナバレンシアの柴田勇真騎手が左手でガッツポーズ。内のラブミーグッドはクビ差2着。外のリスカルダメントはハナ差3着。3頭紙一重の接戦だった。
ラブミーグッドはたしかにゴール前で脚色が鈍ってはいたが、マナバレンシアの勝因は、柴田騎手のさすが地元という好判断、好騎乗だろう。
最近の金沢コースはラチ沿いを2、3頭分空けてのレースになることが多いが、この日はところどころに水が浮く不良馬場。ここまでのレースでラチ沿いを走る馬も見られ、直前のレースでは内ラチ沿いを回って位置取りを上げ、直線だけ外に持ち出された10番人気馬が2着に好走していた。柴田騎手はそうした傾向を意識していたのだろう。前で競り合う人気2頭を見ながら、2番という枠順もあって、スタート後の直線からほかの馬がほとんど通っていないラチ沿いを追走していた。そして直線、一杯になったホーリーナイトキスの外に切り替え差し切った。
今年も金沢リーディングを独走する金田一昌調教師が、「前2頭が競り合ってくれたのもありますが、柴田もうまく乗った」と満面の笑みで称えた鞍上は、デビュー6年目での重賞初制覇となった。
ここまで金沢2歳戦線は、デビューから6連勝で金沢プリンセスカップと兼六園ジュニアカップを制していたサブノタマヒメが絶対的な存在だった。しかしここはローテーション的に回避したと金田調教師。金沢プリンセスカップでその2着だった同厩舎のマナバレンシアが、北海道や大井の強豪相手に見事その代役を果たしての勝利ともなった。
Comment
柴田勇真 騎手
マナバレンシアのペースで運べていたので、我慢できるところまで我慢して、(前は)交わせるなという感でしたが、そこで気を抜くとやめる馬なので、最後まで追って、ゴール板を切ってからガッツポーズしました。金沢だけでなく、全国に遠征に行けるような馬に成長していってもらいたいです。
金田一昌 調教師
状態はすごくよかったので、3着があればいいなと思っていたんですが、前2頭が競り合ってくれて展開が向いた感じで、どちらかでも止まってくれるかと思っていたんですが、まさか勝てるとは思ってなかった。バレンシアが頑張ってくれました。次は決めていません。上がりを見てからの相談になります。