今期一番の冷え込みとなった、この日の北海道。門別競馬場も午後から気温が一桁台となり、レース後に鞍を外された馬の背中からは湯気が立ち上っていた。
寒空の下のカクテル光線に照らされ、エーデルワイス賞JpnⅢのパドックに姿を見せたのは、15頭のうら若き乙女達(ウワサノシブコは出走取消)。どの馬も寒さを感じさせないような、軽快な脚取りで周回を重ねていく中、1番人気に支持されたのはデビュー2戦目から4連勝、前走リリーカップでは2着馬に7馬身差の快勝を果たしていたソロユニット。
昨年のエーデルワイス賞JpnⅢで2着だった半姉アザワクも、同じ角川秀樹厩舎の管理馬。現在はスプリントを中心に活躍を続けているアザワクだが、角川調教師はその姉とソロユニットの違いについて、「道中で姉ほど力んで走らないし、この馬はマイルぐらいまでなら対応できるはず」と話している。唯一のウィークポイントとも言える細身の馬体であるが、前走から充分なレース間隔を取って調整された効果もあったのか、プラス4キロでの出走。姉のリベンジを果たす準備は整っていた。
全馬が揃ったスタートとなった中で主導権を取りにいったのが、中央から遠征してきたマウンテンムスメ。同じ角川厩舎のマーサマイディアが並びかけ、ソロユニットはその2頭を前に置く位置でレースを進めた。
残り600メートルを過ぎてマウンテンムスメを交わした角川厩舎の2頭が、併せ馬をするかのように最後の直線へと入っていく。だが、気合いを入れるかのようにムチを振るったマーサマイディアに対し、ソロユニットは持ったまま先頭へと躍り出る。残り1ハロンからは独走態勢に入り、セーフティリードを保ったままゴール。4馬身差の2着には外から脚を伸ばしてきた中央のミコブラックが入り、最内で粘り込んだマーサマイディアが3着に残った。
ソロユニットはこれで5連勝。ホッカイドウ競馬所属馬はエーデルワイス賞JpnⅢ・4連覇となり、角川厩舎も同レース6勝目。こうした記録以上にソロユニットの強さと、1分12秒2という勝ち時計にも証明された、速さが際立ったレースとなった。
レース後、角川調教師は次走に向けて具体的なローテーションを発表しなかったが、「馬体も含めて、まだまだ良くなってくれる馬だと思います」と話していたように、その秘めた能力は計り知れない。今後も連勝街道をひた走り、間もなく雪の便りが届く北海道にホットな活躍を届けてくれそうだ。
Comment
阿部龍 騎手
改めてこの馬の強さを感じることができました。能力を存分に発揮できる位置取りでレースを進めることができました。イメージ通りの競馬だったと思います。レースではいつも真面目で、メンタルも大人びた馬です。まだまだ身体も成長してくれると思いますし、これからどういう成長をするか楽しみです。
角川秀樹 調教師
去年、姉(アザワク)がゴール前で交わされたぶん、妹が頑張ってくれました。食いの細い馬なので、中間の管理にも苦労しました。馬体に思ったほどボリュームは付きませんでしたが、持っている素質の高さが凄いと思います。エーデルワイス賞はゲンのいいレースだと思いますし、何回勝ってもいいですね。