引き続き無観客開催のまま迎えた南関東牝馬二冠目の東京プリンセス賞。4頭が単勝一桁台で拮抗したが、一冠目の浦和・桜花賞こそ5着に敗れたものの、それまで圧倒的な強さで連勝してきたレイチェルウーズが人気の中心。しかし勝ったのは、3歳になっての充実ぶりを示したアクアリーブルで、母仔制覇と桜花賞に続く牝馬二冠達成となった。
逃げたのは、準重賞の桃花賞を逃げ切って3連勝中のカラースキームで、2番手にテーオーブルベリー、アクアリーブルがぴたりと3番手につけ、人気4頭のうちの3頭が先行。レイチェルウーズもその直後5番手につけた。
4コーナーでは先行3頭がほぼ横一線となり、レイチェルウーズも外に持ち出してとらえにかかった。しかし手応え抜群だったのがアクアリーブルで、他馬が4コーナー手前から追い出したのに対し、直線を向いてもまだ手綱を抑えたまま。そしていざ追い出されると、他の人気馬を置き去りにした。そして外から並びかけてきたのが、6番手を追走していた単勝万馬券のリヴェールブリス。しかし直線半ば過ぎでこれを振り切ると、1馬身3/4差をつけての快勝となった。
2着馬と同じような位置から内を伸びたルイドフィーネが1馬身半差3着、直線伸びあぐねたレイチェルウーズは4着だった。
逃げたカラースキームの1000メートル通過62秒5は、重馬場とはいえこの時期の3歳牝馬にはやや厳しいペース。テーオーブルベリーに突かれる息の入らない流れもあって最下位に沈み、そのテーオーブルベリーも10着。アクアリーブルの強さが際立つ結果となった。
2着に入ったリヴェールブリスは、デビューした門別ではブリーダーズゴールドジュニアカップ3着、中央の芝に挑戦したクローバー賞でも3着など、牡馬相手の善戦もあったが、勝ち星はデビュー2戦目のアタックチャレンジだけだったこともあって人気を落としていた。「追切りで乗らせてもらって、スタミナ勝負になればと思っていたのでいい走りをしてくれました」という水野翔騎手(笠松)は、期間限定騎乗での好騎乗が目立っている。
勝ったアクアリーブルは、これが15戦目。東京プリンセス賞が5月もしくは4月下旬に行われるようになった2003年以降の勝ち馬では最多のキャリア。デビューした門別では2歳時に牝馬限定の重賞で3戦したが6着が最高。血統的には注目されたが、成績的にはそれほど目立つ存在ではなかった。北海道所属として最後の出走となった盛岡・知床賞でようやく2勝目。その後、船橋・佐藤賢二厩舎に移籍し、3歳になってからレースを重ねるごとの充実ぶりがすばらしい。
母アスカリーブルが、東京プリンセス賞、関東オークスJpnⅡの二冠を制したあとも、黒潮盃、戸塚記念まで重賞で連勝を重ねたように、アクアリーブルも今後のさらなる成長が期待できそうだ。「距離は2000メートルくらいまでならこなすと思う」(佐藤調教師)とのことで、関東オークスJpnⅡでは2006年のチャームアスリープ以来史上2頭目の南関東牝馬三冠の期待がかかる。
なお、残すところあと2戦となったグランダム・ジャパン3歳シーズンは、2日前の留守杯日高賞を制したボンボンショコラ(浦和)とアクアリーブルが17ポイントで並び暫定1位となっている。
Comment
矢野貴之 騎手
この馬には船橋で騎乗した時から大井の1800は合いそうだなというイメージはあったので、騎乗依頼をいただいて勝つことができて安心しています。道中は無理のないところで競馬をしたいと思っていたのでいい位置をとれたと思います。真面目すぎず、気を抜くところもあり、そこが良い結果につながりました。
佐藤賢二 調教師
3、4番手くらいにつけてくれという指示どおり理想のポジションで追走して、矢野騎手がうまく乗ってくれました。直線は少しハラハラしましたがゴール前で伸びてくれたので、大丈夫だなと思いました。牝馬だけどイレ込むことなく、おとなしいですし、今後も成長が期待できます。