前日の桜花賞(浦和)に続いて2日連続でのグランダム・ジャパン(GDJ)3歳シーズン。第2戦となる若草賞には南関東から3頭、兵庫1頭、地元・東海勢8頭の12頭が揃った。GDJは回を重ねるごとに南関東から有力馬の参戦が増加傾向で、2歳時にフローラルカップと金沢シンデレラカップを制覇したミステリーベルン(川崎)、栄冠賞を制覇したバブルガムダンサー(船橋)、そしてポピュラーソング(船橋)は前走・ユングフラウ賞3着で桜花賞への優先出走権を手にしながら、名古屋遠征を決めた。しかし残念なのは、新型コロナウイルスの影響で引き続きの無観客競馬に加え、ポピュラーソングに騎乗予定の笹川翼騎手が遠征を自粛し、戸部尚実騎手に乗替わったこと。諸外国でレースの開催中止が続発する中において、なんとかレース開催を維持しようと努力が伝わってくる。
単勝1番人気はステラモナーク(兵庫)で1.3倍と抜けた存在。逃げの手を打つようになってから強さは際立っており、重賞2勝を含む3連勝中。前走の園田ユースカップにいたっては稍重の1400メートルを1分27秒2と、3歳牝馬としては破格のタイムで勝っており、ここもハナを奪うと怖い存在だ。しかし、下原理騎手はレース前、「南関東の馬も速そうですよね」と最内枠のポピュラーソングを警戒した。
ゲートが開くとその予感はズバリ的中で、ポピュラーソングが抜群のスタート。ステラモナークは1歩目こそヒケを取ったが、下原騎手が出ムチを入れて先手を取る構えを見せると、それに応えて馬もダッシュを利かせてハナに立った。ポピュラーソングは「相手が行けば2番手外に切り替えるという指示通り」(戸部騎手)の展開で、中団のインにバブルガムダンサー、その外にミステリーベルンと続いた。
3コーナー手前から進出したミステリーベルンが「休み明けのぶんも多少ありましたが、しまいはしっかり使っています」(岡部誠騎手)と先頭との差を詰めにかかったが、軽快に逃げたステラモナークは直線に入ってさらに後続を突き放し、6馬身差で重賞3連勝を決めた。3着には「まだ本調子手前」(佐藤友則騎手)というバブルガムダンサーだった。
ステラモナークは前週の追い切りで「動きに重さがありました」と跨った新子雅司調教師。しかし、「これくらいでいいかな」と、いい意味での余裕残しが初輸送ながらレース前の落ち着きにつながった模様。「返し馬後にキョロキョロしてはいましたけど、落ち着いていました」と下原騎手も話す。
スピードで押し切るタイプなだけに、気になるのは距離が延びてどうかだが、新子調教師は「今日のレースぶりなら、1800メートルでも折り合いがつくのではないでしょうか」と見通しを立てた。次走は地元・園田の菊水賞(4月16日、1700メートル)や再び名古屋でGDJ・東海クイーンカップ(4月21日、1800メートル)などいくつか候補があるが、「まずはオーナーと相談してから」と新子調教師。それによって、さらにその先の大目標も決まっていくことだろう。
Comment
下原理 騎手
いつもに比べて1歩目は思ったよりキレませんでしたが、気合いを入れたら二の脚がついて安心しました。逃げられれば、いい勝負になるだろうと思っていました。直線はビジョンを見る余裕もあって、後続馬の脚音も聞こえませんでした。テンの速さもしまいも、ますますしっかりしてきて成長を感じます。
新子雅司 調教師
行き脚が鈍かったのは、動きに重さを残した仕上げだったからでしょうが、勝ち時計は速かったですね。成長を感じますし、今日のパドックで「大丈夫かな?」と思うほど大人しい姿を見て、この馬のスイッチの入れ方がだいぶ分かってきました。それによって気合いが2~3段階上がっていくと思います。