猛威をふるう新型コロナウイルス感染症。4月16日には緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大され、各競馬場では開催維持のため感染リスクを最小限に抑えようと、馬主や取材陣の入場を大幅に制限。当取材もカメラマンのみが現場へ出向き、ライターはインターネット中継や広報から届く陣営コメントを基に遠隔取材となった。
東海クイーンカップはグランダム・ジャパン(GDJ)3歳シーズン第4戦。船橋からポピュラーソング、兵庫からキクノウィングを迎えフルゲート12頭立てとなったが、重賞勝ち馬は不在の大混戦。
オッズもそれを表しており、単勝人気は12頭中5頭が10倍以下にひしめき合った。そんな中、1番人気はジェネラルエリアで1.9倍と少し抜けた存在。門別で1勝を挙げて昨秋に名古屋へ移籍。前走スプリングカップでは4コーナー手前でに立ち、直線でニュータウンガールには交わされたものの1馬身半差の2着に粘った。今回と同じ1800メートルをこなしたことも支持を集めた理由だろう。
2番人気はクロワで5.0倍、続いてビックバレリーナが7.2倍の順だったが、3連単では1番人気→3番人気→4番人気キクノウィングの組み合わせが最も支持を集めた。この日の名古屋は多くのレースで逃げや4コーナー先頭の馬が押し切り勝ちを決めていただけに、逃げ候補の1頭であるクロワの単勝が売れたものの、3連単では重賞で実績のある馬が人気を集めたということだろう。ビックバレリーナは4走前の梅桜賞でニュータウンガールに半馬身差の2着、キクノウィングは年末の園田ジュニアカップでイチライジンの2着という実績があった。
向正面入口からのスタートは、クロワが好スタート。しかし、外からビックバレリーナの大畑雅章騎手が出ムチを入れてハナを主張した。3番手外にファーストカム、その内にジェネラルエリア、ポピュラーソングと続き、キクノウィングはスタートで外の馬と接触し後方からとなった。
残り600メートル手前で鞍上の手が動き始めたクロワに代わって進出したのはファーストカムとジェネラルエリア。しかし、ビックバレリーナの脚色はなかなか衰えず、ファーストカムの追撃を1馬身半しのいで重賞初制覇を遂げた。
「ハナは譲れないと思っていました」と大畑騎手は会心の笑みで、逃げ有利の馬場を味方につけた。2着ファーストカムの宮下瞳騎手も前目の位置を狙って取ったが、「4コーナーで離されてしまいました」と悔しさをにじませた。4馬身差の3着はジェネラルエリア。川西毅調教師は「次はのじぎく賞を視野に入れています。今度はチャンレンジャーの立場になりますから、楽に乗れるでしょう」と展望を語った。
GDJ3歳シーズンはこれで半分を消化したが、ここまでの勝ち馬がみな1戦しか走っていないため、上位はアクアリーブル(船橋)、ステラモナーク(兵庫)、ミスカゴシマ(佐賀)、ビックバレリーナ(愛知)が10ポイントで並んでいる。GDJは2走以上が資格要件でもあるため、上位馬は後半戦にも登場するものと思われる。ポイント争いから抜け出すのはどの馬だろうか。
Comment
大畑雅章 騎手
抜けたメンバーがいなくて、チャンスがあると思っていました。馬体重も増えて、いい感じに気合いが乗っていたので走ってくれるだろうと感じていました。直線に入る時の手応えで、勝負になると思いました。距離はもつので、東海ダービーを狙いたいです。応援よろしくお願いします。
今津博之 調教師
プラス体重で、状態はいいと感じました。できれば460キロくらいまでほしいですね(今回は446キロ)。4コーナーの手応えから、直線は辛抱してくれると思いました。まだ完成されていなくてこれからの馬。ここでひと息入れたいので、次走は直行で東海ダービーになると思います。軽い馬場なら期待できます。