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2019
ヤングジョッキーズシリーズ

本年12月27日(金)に大井競馬場、28日(土)にJRA中山競馬場で実施される『2019ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2019ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

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Trial Round
トライアルラウンド
6.11(火) 金沢競馬場
6.18(火) 船橋競馬場
7.15(祝月) 高知競馬場
7.30(火) 佐賀競馬場
8.12(振月) 盛岡競馬場
8.21(水) 門別競馬場
9.25(水) 笠松競馬場
10.9(水) 浦和競馬場
10.16(水) 名古屋競馬場
11.6(水) 園田競馬場
11.19(火) 川崎競馬場
Final Round
ファイナルラウンド
12.27(金) 大井競馬場
12.28(土) JRA 中山競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズFR 中山

12.28 (土) JRA中山競馬場

ファイナル2勝の岩本騎手が優勝
 地方ジョッキーが表彰台を独占

第1戦

第2戦

リポート動画

地方競馬のジョッキー達の活躍に沸いた1日だった。2日間計4レースで争われるファイナルラウンド最終日となる12月28日、JRA中山競馬場では第1戦、第2戦ともに地方ジョッキーがJRA初勝利を挙げ、表彰台も独占という結果で幕を閉じた。

快晴の下、集ったファイナリストは14名。前夜の大井と違い、JRA騎手、特に美浦所属騎手は主戦場とあってか幾分、柔らかな表情で騎手紹介式に登場した。また、岩田望来騎手(JRA)は栗東所属ながら前週の有馬記念当日に中山競馬場で騎乗経験があり、この日も第3レースを10番人気馬で2着など存在感を放っていた。

地方勢はというと、昨年の優勝者・櫻井光輔騎手(川崎)は思い出の地に立ち、「がんばります」と青空にも負けない笑顔。対して、2年ぶりのファイナルラウンド出場の中越琉世騎手(川崎)は「久しぶりに見ると、やっぱり中山競馬場は広いなと思いました。一昨年は中山で悔いばかりが残ったので、今年は力を出し切って悔いなく終えたいです」とリベンジを誓った。

1日目を終えてトップは松木大地騎手(兵庫)、1ポイント差に岩本怜騎手(岩手)、続いて坂井瑠星騎手(JRA)と長谷部駿弥騎手(兵庫)という順位。服部寿希騎手(JRA)は「昨年は総合4位でしたが、昨日は2ポイントしか取れなくて……」とやや諦めムード。それでも2戦とも上位に食い込めばまだチャンスのある状況だ。

第1戦は芝2000メートル。逃げたのはその服部騎手で、スローペースに落とした。向正面では「掛かってしまって……。それがなければ、勝てたかもしれません」と木本直騎手(兵庫)が一気に先頭集団まで位置取りを上げた。

直線を向いて先頭に立ったのは小林凌大騎手(JRA)だったが、直線半ばでこれをとらえたのがクリノオスマンと岩本騎手。さらに大外から松木騎手が「最後に坂があるので、何とか交わせるかなと思ったのですが」と追い込んできたが、岩本騎手が半馬身凌いでゴール。「外から来ているのは感じましたが、自分の馬も頑張っていて残るだろうと思いました」と岩本騎手。地元・船橋市出身で、「中山競馬場には子供の頃に2~3回来たことがあります。今日は家族や中学校時代の友達も応援に来ているんです」と嬉しい状況でJRA初勝利を挙げた。

3着は「うまく外に出せました」と西村淳也騎手(JRA)、4着中越騎手、5着は坂井騎手で「今日は展開が向きませんでした」と悔やんだ。

ポイント上位2名でのワンツー決着、さらに3位の坂井騎手も5着に入り、優勝争いはこの3名に絞られた。それを知ってか知らずか、長谷部騎手は報道陣に「3位とは何ポイント差ですか?」と質問。優勝争いは厳しくても、せめて表彰台に上りたいという思いからだった。

最終戦はダート1800メートル。逃げたのは内枠の岩田騎手で、またもやペースはスロー。そうなれば後方にいた中越騎手が「誰も行かなければ行こうと思いました」と考えるのは当然のこと。しかし、彼よりひと足早くエンジンをかけたのは菅原明良騎手(JRA)。このクラスでは5戦続けて2桁着順の馬だったが、「違う一面を見せられればと積極的に乗りました」と一気に先頭までマクっていった。

菅原騎手はそのまま4コーナーまで粘ったが、「ひと呼吸待って」から仕掛けた中越騎手が直線でもしっかり伸びて勝利。これには応援に駆け付けたかつての高知競馬リーディングで父の豊光元騎手も「一昨年は直線で先頭に立って慌てていましたが、今年はマクられた時にしっかり辛抱ができていましたね」と息子のJRA初勝利を喜んだ。

2着は後方から追い上げた長谷部騎手、3着に「仕掛けどころで反応が思っていたほど良くなくて、ワンテンポ遅れてしまいました」と山田敬士騎手(JRA)、4着は小林騎手、5着は坂井騎手だった。

2日間の戦いを終えて総合優勝は岩本騎手。「2位の松木騎手とポイントが接戦でしたし、2戦目は後方でゴールしたので、優勝できたかどうか分かりませんでした。東北からの出場は自分だけ。出場できなかった人の分の気持ちも背負っていました。嬉しいです」。今年は重賞初制覇や通算100勝など記念の勝利が多かったが、そこに新たな勲章が加わった。

来年度も開催が決定しているYJS。第1回から3年連続で地方ジョッキーの優勝となったが、「まだJRAの騎手が優勝していないということは、来年、僕にも『JRA勢初の優勝』というチャンスがありますね」と山田騎手は目を輝かせた。地方競馬とJRAの垣根を超えた若手騎手たちの戦いは続いていく。

  • 取材・文
  • 大恵陽子
  • 写真
  • いちかんぽ(築田純・国分智)

Comment

総合優勝 岩本怜騎手(岩手)

最高です!ポイントに余裕があるからなのか、中山では緊張せずに乗ることができました。第1戦はペースが思ったより遅かったですが、脚を溜めることができました。芝が綺麗で、たくさんのお客さんの歓声も聞こえて気持ち良かったです。これが最後のYJS。ここで得た経験を地元で生かしたいです。

総合2位 松木大地騎手(兵庫)

総合2位で詰めが甘い点が僕らしい結果ですね。第1戦はもう少し僕が追うことができていたら、第2戦は出遅れてしまって……と、反省です。YJSは普段乗れない場所で同世代と戦えるいい機会でした。地元に帰ったら、腕達者な園田の先輩たちと戦わないといけないので、これからが本番だという気持ちです。

総合3位 長谷部駿弥騎手(兵庫)

中山では展開などが分からず、雰囲気にもちょっと飲まれてしまいました。表彰台に上ることが目標ではあったのですが、大井第2戦と中山第2戦でともに2着だったのが心残りです。YJSを通してペースを見極められるようになったことは大きな収穫ですし、地元ではできない経験ができました。