東日本地区のトライアルラウンドは、6月の船橋に続いての第2ラウンド。地方では藤本現暉騎手(大井)と仲原大生騎手(大井)、JRAでは木幡巧也騎手、菊澤一樹騎手、大塚海渡騎手が船橋に続いての参戦となった。
第4レース後に行われた騎手紹介式では、ともに今年のシリーズ初参戦となる、地元の岩本怜騎手と、藤田菜七子騎手(JRA)がマイクを持って意気込みを話した。
その藤田騎手は、2日前にイギリスのシャーガーカップでの騎乗を終えて帰国したばかり。そしてトライアルラウンドのあとには、クラスターカップJpnⅢでコパノキッキングへの騎乗が控えている。その姿を追うために、盛岡競馬場には昨年の何倍もの報道陣が来場。注目を集めた藤田騎手だったが、第1戦は11着、第2戦は8着という結果だった。
一方で、今年デビューの新人騎手たちは初めての舞台に笑顔を見せていた。大木天翔騎手(大井)は同じ大井の2名と行動をともにして、リラックスできている様子。大塚騎手は盛岡競馬場への移動中に、ファンからの激励を受けていた。
第1戦はダート1200メートルが舞台。人気は割れていたが、好スタートを決めたのは、1番人気に推された岩本騎手と2番人気の藤田騎手。しかしすぐさま岩本騎手が先手を取り切った。そのあとの馬群はほとんど一団で、早めに失速した藤田騎手に代わって2番手につけた菊澤騎手も4コーナーで後退していった。そのペースは速い流れに映ったが、岩本騎手は3コーナーから独走態勢。そのまま3馬身差をつけて押し切った。
2着には前年のファイナルで優勝した櫻井光輔騎手(川崎)がインコースを回って流れ込み、3着には地元の塚本涼人騎手が入った。4着には菅原明良騎手(JRA)、6着には大木騎手と、今年デビューの騎手も上位に入った。
後検量を終えて写真撮影に向かう途中、勝った岩本騎手は「行き切りました。とてもうれしいです」と声を弾ませた。
続く第2戦はダート1600メートル。盛岡コースで6戦6連対という馬に騎乗する藤田騎手が1番人気に支持された。今年のトライアルラウンドは、予定されている騎乗機会が東日本地区では、地方騎手は4回または5回。JRA騎手は5回または6回。ファイナルラウンドに進むためには、大きい着順は避けたいところ。大塚騎手の騎乗馬が出走を取消しての11頭立ては、再び速い流れになった。
スタート直後に先手を主張したのは櫻井騎手と大木騎手だったが、2コーナー付近で菅原騎手が動いて先頭に立った。ペースを判断して仕掛けたように映ったが、菅原騎手によると「スタート直後からハミを取ってくれたので、気分よく行かせたほうがいいかなと思いまして」とのこと。いずれにしてもその判断は功を奏し、そのまま押し切って勝利した。
2着には中団から外を通って上昇してきた岩本騎手が入線。最後方からレースを進めた山田敬士騎手(JRA)が鋭い末脚を見せて3着に食い込んだ。
「最後の脚は気持ちよかったですが、3着は悔しいですね」と、山田騎手。4着に入った大木騎手は「ゴールの直前で外から1頭来ていたのは見えていて、『あーっ、差された』と思いました」と苦笑い。それでも5着の藤本騎手とはハナ差。4着と5着のポイント差は2だが、それが最終的に意味を持つことになる可能性はある。
それを気にしていたのが藤本騎手。すでに通算100勝を超えているため、ヤングジョッキーズシリーズに参加するのは今年が最後となる。「この馬にとっては厳しい展開になってしまいました。ポイントはどうですかね……」と心配顔。藤本騎手は船橋ラウンドで勝利を挙げているが、盛岡では9着と5着。現時点では東日本2位でも、今後のトライアルラウンドの結果に気をもむことになりそうだ。
その一方で笑顔を見せていたのが、勝利を挙げた岩本騎手と菅原騎手。この2人は「普段からよく連絡を取っています」という、同じ千葉県の出身。それだけにファイナルラウンドが行われる中山競馬場には、ぜひとも進みたいところだろう。
表彰式のあと、岩本騎手は「第1戦を勝った時点で通算99勝。第2戦で100勝を達成したかったんですが」と話した。しかしその直後、第11レースで通算100勝を達成。藤本騎手と同じく、今年がファイナルラウンドを目指す最後の機会になる。
Comment
第1戦1着 岩本怜騎手(岩手)
第1戦は逃げることしか考えていませんでした。今日の馬場は逃げ先行が有利という感じがありましたし、4コーナーで後ろをちょっと見て、まだ余裕があると思いました。地元のアドバンテージを生かせましたし、以前からトライアルラウンドで勝つと宣言していたので、そのとおりになってよかったです(笑)。
第2戦1着 菅原明良騎手(JRA)
第2戦は馬の行く気に任せて気分よく走らせました。後続が迫ってきているのは分かっていましたが、こちらの手応えも最後までよかったので大丈夫かなと思いました。次の門別では1回だけ乗ったことがあるのですが、スタート直後に落馬してしまったんです。それを取り返せるように頑張りたいです。