東日本地区で行われるヤングジョッキーズシリーズのトライアルラウンドは、この日の浦和と11月19日の川崎を残すのみ。浦和に出場する地方騎手8名のうち6名は、この浦和がラストという予定になる。JRA所属は7名のうち4名がラストの予定。それぞれの騎手は獲得ポイント数が気になるところで、まずは第1戦でひとつでも上位の着順を、という思いで臨んだことだろう。
その気持ちはスタート直後に表れて、6頭が先頭を目指していくという激しい争いが繰り広げられた。単勝1.2倍の支持を集めた塚本涼人騎手(岩手)の騎乗馬は2戦連続で逃げ切り圧勝を飾っていたが、その争いに加わることができないほどだった。
スタートからの600メートルが36秒9というタイムは1400メートルのC3クラスでは明らかに速く、2コーナー手前で赤津和希騎手(浦和)が先手を取り切ったが、その後ろは6頭ほどがほぼ一団に。塚本騎手も向正面に入ったあたりで先行集団の直後につけて、徐々に位置取りを上げていった。そして直線残り100メートル付近では、逃げる赤津騎手と追う塚本騎手に、大外を通ってきた小林凌大騎手(JRA)が接近。ゴール地点では塚本騎手と小林騎手が並んだが、ハナ差で小林騎手に軍配が上がった。
勝利を逃した塚本騎手は「スタートで遅れて少し焦りました。コーナーも考えていたよりきつかったです」と悔しそうな表情。逆に小林騎手はトライアルラウンドでの2勝目で、浦和終了時点でJRAの東日本地区で暫定1位に浮上。「今回は母が見にきていました」とうれしそうにしていた。
3着に粘った赤津騎手は「先行争いが厳しかったですが、でも3着なら」と7番人気での健闘に笑顔。4着の山本咲希到騎手(北海道)は「予想していた展開とは違いましたが、それでも考えていたとおりの競馬はできました」と納得している様子だった。
ひとつレースをはさんでの第2戦も1400メートルが舞台だったが、先手を狙ったのは1番人気の臼井健太郎騎手(船橋)と2番人気の福原杏騎手(浦和)だけ。1コーナーではその2頭が並び、コーナーワークで臼井騎手が先頭に立った。その後ろは少し差があって山本騎手、赤津騎手が続いて、隊列は縦長になった。
3コーナーあたりでもその順番はほとんど変らなかったが、4コーナーでは外を回って赤津騎手、野中悠太郎騎手(JRA)などが追い上げてきた。それでも臼井騎手が逃げ切りを狙えそうなところ、後方から1頭だけ勢いが違う馬が上昇してきた。その馬は5番人気のシェナフウジン。2コーナーでは10番手あたりにいたが、手綱を取った山田敬士騎手(JRA)が向正面の中央あたりから大外を回って仕掛けていったのだ。とはいえ、直線入口ではまだ6番手。しかしそこから豪快に伸びて、粘り込みを図る臼井騎手と赤津騎手らをまとめて交わしきった。
山田騎手はこの勝利でJRAの東日本地区で暫定3位に上昇。「馬のストライドとリズムを考えて乗りました。速い流れでしたし、あとは馬の力を信じました」と、トライアルラウンドでの初勝利を振り返った。
一方、3着に敗れた臼井騎手は地方の東日本地区で暫定4位。これでトライアルラウンドの騎乗が終了の予定で、ファイナルラウンド進出は厳しくなった。臼井騎手が「今の馬場なら残れると思ったんですが……」と話していたところに通りかかったのが、浦和には出場していない藤本現暉騎手。「ポイントはどうなっていますか?」と取材陣の輪に加わって、浦和終了時点で暫定3位にいることを確認。川崎での結果次第ということを確認して笑顔を見せた。
第1戦に続いて4着に入った山本騎手は、地方の東日本地区で暫定2位。川崎では騎乗予定がないので「人気薄の馬でも上位に入ることができましたし、胸を張って川崎の結果を待ちます」と話した。地方騎手もJRA騎手も、川崎の結果でファイナルラウンドに進出できるかどうかが決まる騎手がほとんど。自力でそれを掴める騎手も、他の騎手の結果次第という騎手も、約1カ月半後のトライアルラウンド川崎は緊張感が高まる2戦となる。
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第1戦1着 小林凌大騎手(JRA)
2番手くらいにつけたいと考えていましたが、先行争いが激しくて後方からになりました。道中は砂をかぶっていやがっている感じだったので、外を回って追い上げていきました。これでファイナルラウンドに行けることになったかなとは思いますので嬉しい勝利になりました。
第2戦1着 山田敬士騎手(JRA)
後方からになりましたが、返し馬のときに3コーナーの手前で馬がハミを噛んだので、そこが仕掛けるポイントなのかなと思って、その場所から追い出していきました。トライアルラウンドでの初勝利はうれしいですが、ファイナルラウンドに出て優勝するのが目標なので、次の川崎も頑張りたいです。