グランダム・ジャパンが始まった2010年から全国交流となった、この留守杯日高賞。岩手競馬は冬期休催が明けてまだ約1カ月という時期でもあり、その過去9年で地元勢はわずか2勝と苦戦。今年の地元勢では、あやめ賞を制して期待の1頭となるはずだったエムワンピーコが、減った馬体重が戻らないとのことで回避。遠征は南関東からの2頭のみで、やや寂しい8頭立てとなった。
スタートで人気を集めた2頭の明暗が分かれた。スタートしてすぐに4コーナーとなる水沢1600メートル戦では有利な最内枠に入った川崎のグローリアスライブは、互角のスタートから直線を向くとすんなりと先頭へ。「1枠で、少し押し気味で行ったらハナをとれそうだったので、意識していたわけではないですが、自然な流れでハナに立ちました」と村上忍騎手。
一方、あやめ賞で惜しくもクビ差2着だったボルドープラージュはダッシュがつかず。8頭立ての7番枠ゆえ一旦外に持ち出し、最初の4コーナーではほとんど最後方という位置取りになってしまった。「砂を入れ替えてから1600メートルのスタートは特に滑るようになって出遅れました」と山本聡哉騎手。それでもスタンド前の直線で徐々に位置取りを上げ、1、2コーナーを回るところでは3番手の外まで進出した。
向正面では前で5頭が一団。そこから2頭が脱落し、3コーナーからは人気上位3頭の争いとなった。
そして4コーナー。ボルドープラージュが、先頭のグローリアスライブをとらえにかかったが、そこまで。直線、グローリアスライブはみるみる差を広げて圧勝。ボルドープラージュは9馬身差の2着。1馬身半差で3着に浦和のボルドーシエルが入り、3着まで人気順の決着となった。
勝ったグローリアスライブは、デビューした門別では牡馬相手の2歳重賞で4着が2度。川崎移籍後、南関東では3歳特別戦を中心に5戦してすべて3着以内に好走しているものの、勝ち星はひとつだけ。「川崎でも1600メートルを走っていて、道営で右回りを経験していますので、たぶん(水沢1600メートルも)合うのではないかと話し合って決めました」と高月賢一調教師。相手関係にも恵まれ、そのプランが見事に当たった。高月調教師は2012年のこのレースでもミスシナノに初タイトルをもたらしており、その経験も生きたのだろう。
グランダム・ジャパン3歳シーズンも残すところあと2戦。他地区1着で15ポイントを獲得したグローリアスライブは、トップのゴールドリングと5ポイント差で3位につけた。高月調教師は「園田(5月16日・のじぎく賞)も考えたんですが、間隔もなく、細い馬ですので少し楽をさせてあげようかと思っています。関東オークスには出走する予定です」とのこと。
最終戦の関東オークスJpnⅡは過去5年、いずれの年も地方馬が2着か3着(もしくはその両方)に入っており、地方馬でも上位を狙えるレース。グランダム・ジャパン最終戦のエクストラポイントも考えると、次ののじぎく賞までに少しでもポイントを稼いでおけば、まだまだ多くの馬に3歳女王の座を狙えるチャンスがありそうだ。
Comment
村上忍 騎手
遊ぶところがあると聞いていたので、気を緩めずにコーナーリングできれば、いい競馬をしてくれると思っていました。直線は必ず伸びると言われていたので、あまり緩めすぎないように、そこだけは気を付けました。3〜4コーナーで並ばれかけた時に、馬を遊ばせないで直線を向けたのがよかったと思います。
高月賢一 調教師
移籍して最初のころはあまり走る気がなくて、特にコーナーで遅れる癖があったので、調教では3〜4コーナーで常にムチを入れながら工夫して調教しました。北海道から川崎に来た時も元気だったので、遠征も我慢してくれると思いました。飼い食いは上がりましたが元気があったのでよかったと思います。