日中は大晦日とは思えないほど暖かかったが、予報どおり日没前から急激に気温が低下。さらに飛ばされてしまいそうなほどの強風は、2歳牝馬には過酷な条件だったかもしれない。
地方2歳牝馬の総決算的な位置づけとなっているこのレース、未知の可能性を試したい馬も少なくないのだろう。かつて南関東限定で12月上旬に行われていた時代から20年以上、フルゲート16頭もしくは15頭立てで争われてきた。その多頭数で、内回り1600メートルの舞台は枠順による有利・不利も少なくない。
またグランダム・ジャパン(GDJ)2歳シーズンの最終戦でもあるこのレース。いくつかの陣営にとって誤算だったのは、禁止薬物の問題で水沢・プリンセスカップが中止になったこと。エーデルワイス賞JpnⅢを制した北海道のコーラルツッキーは、プリンセスカップで期待していたポイントを加算できずに最終戦に臨むことになった。
最内枠に入った北海道のテーオーブルベリーが果敢に先頭を主張。これにからんでいったのが、ローレル賞を勝って1番人気に支持されていたブロンディーヴァ。差なくポピュラーソングも追走して、中間800メートル通過48秒8はかなり厳しいペースだった。
ポピュラーソングが3コーナー手前で失速。先行2頭が3番手以下を離して直線を向いたが、ブロンディーヴァは一杯。テーオーブルベリーが先頭で踏ん張っていたが、中団から徐々に位置取りを上げてきていた2番人気のレイチェルウーズが並ぶまもなく差し切った。テーオーブルベリーはなんとか粘って3馬身半差で2着。勝ち馬のうしろを追うように伸びてきた伏兵サブノアカゾナエが2馬身半差で3着に入った。
後半800メートルは前半より5秒9もかかる54秒7。勝ったレイチェルウーズでも上り3ハロンがメンバー中最速で41秒2もかかっており、先行争いに巻き込まれなかった4番手〜中団の馬にとっても厳しい流れの後半スタミナ勝負だった。
なお、門別と金沢で重賞2勝を挙げていた北海道のミステリーベルンはスタート後に進路が狭くなって躓き、大きく位置取りを下げる不利があって14着。内に斜行して加害馬となったブロンディーヴァ(5着)の御神本訓史騎手は2日間の騎乗停止とされた。
勝ったレイチェルウーズは、これでデビューから4連勝。鞍上の本田正重騎手は、前日の東京シンデレラマイルをローレライで制しており、年末に2日連続での重賞制覇となった。管理する林正人調教師は、「一戦一戦、思っているより上の結果を出してくれて、調教もまだ抑え気味にやっているので、びっくりしています」とのことだった。
GDJ2歳シーズンは、この最終戦を前にポイント・トップに立っていたテーオーブルベリーが2着のポイントを加算して優勝。前述のとおりローテーションの狂いから実力を発揮できず7着だったコーラルツッキーが2位で、田中淳司調教師の管理馬が1・2位。ミステリーベルンが3位で、北海道所属馬が3位まで独占となった。
また田中淳司調教師は、GDJ・10回の歴史で2歳シーズンは、13年カクシアジ、17年エグジビッツに続いて3度目の優勝。古馬シーズンも15年サンバビーンで優勝しており、GDJ優勝4回は、吉行龍穂調教師(兵庫・引退)に並んで最多タイとなった。
Comment
本田正重 騎手
課題は、初めての輸送と右回りと(大外)16番枠。風がとても強くて、2歳の牝馬にはタフなコンディションでしたが、がんばってくれました。返し馬で調子のよさは伝わってきたので、自信を持って乗れたし、余裕をもって乗れました。まだ底を見せていないので、これからがとても楽しみです。
林正人 調教師
初めての輸送でしたが普段より落ち着きがあったので、安心して見ていられました。思ったより強いレースをしてくれて驚いています。オーナーとの相談になりますが、このまま(南関東の)牝馬路線に行こうと思います。ここ1、2カ月(厩舎の)成績がいまいちだったので、最後に重賞を勝てて嬉しいです。