グランダム・ジャパン(GDJ)2歳シーズンが今年も園田プリンセスカップから始まった。2010年にスタートしたGDJだが、デビューして間もない2歳シーズンのこの時期、さすがに積極的に他地区からの遠征は難しいと思われ、実際3年目まで、このレースにはGDJの地区区分でいうところの“自地区”である金沢・笠松・名古屋からの遠征にほぼ限られていた(10年には福山からの遠征もあった)。しかし4年目の13年に初めて北海道から2頭の遠征があり、1着、3着。15年にも勝利し、17年には北海道勢が上位3着まで独占と、2歳戦でのレベルの高さを示している。
そして今年また新たな変化は、南関東から2頭が遠征してきたこと。これまでこのレースに出走した南関東所属馬はわずか1頭(17年アクアレジーナ・6着)。今回は2頭ともにまだ底を見せていない成績で、その1頭、船橋のスティローザが1番人気にこたえる快勝を見せた。
抜群のダッシュを見せたのは、そのスティローザ。同じ船橋のポピュラーソングはスタートで躓いたものの、すぐに立て直すと二の脚の速さで2番手につけ、北海道のスパイスワールド、テーオーブルベリーが外に続いた。前を固めた遠征勢に対し、地元勢では唯一ステラモナークがラチ沿い3番手につけた。
3コーナー手前でポピュラーソングが徐々に後退、勝負は前4頭に絞られた。4コーナーでは外からテーオーブルベリーが先頭のスティローザに並びかける場面もあったが、手ごたえの差は歴然。直線を向くとスティローザが後続を振り切り、最後は手綱を緩める余裕のゴール。テーオーブルベリーは2馬身半差で2着。内でしぶとく3着に粘ったステラモナークは、これがまだキャリア2戦目だが地元の意地を見せた。
勝ったスティローザは、これで5戦3勝。地元船橋での新馬戦を勝ったあと、2戦目は川崎で逃げて2着。3戦目も川崎だったが、勝ち馬から2秒6も離される5着に惨敗していた。これについて矢野義幸調教師は、「砂を被せていこうとしたら、砂を被りっぱなしで外に出せる場面もなく、そのまま終わってしまいました。それで前走では正攻法でということで、うまくいきました」という、前走浦和1400メートル戦は、逃げて2着に2秒2差をつける圧勝。そして臨んだ一戦だった。
近年、南関東でも2歳戦が始まる時期が早まったが、最初の2歳重賞は10月中旬の鎌倉記念。牝馬限定戦となると、11月のローレル賞まで待たなければならない。それゆえ、すでにキャリア4戦を重ね結果も残しているスティローザにとっては、遠征のリスクがあるにしても、ここが狙い目となったのだろう。
たしかにこの時期の北海道所属の2歳馬はレベルが高いが、ここまでに経験できるのは、ほとんどが広い門別コースと、ごくまれに中央だけ。一方、南関東では直線の短い浦和やコーナーがきつい川崎、右回りの大井など様々なコース形態が経験できる。園田のような小回りコースに遠征するにはアドバンテージになるだろう。
スティローザの今後について矢野調教師は、このあと1戦使うか使わないかで、ローレル賞から東京2歳優駿牝馬になるだろうとのこと。GDJでは16年にクラトイトイトイで3歳シーズンを優勝しており、2頭目のGDJタイトルを目指すことになる。
Comment
吉原寛人 騎手
スタートセンスがすごくいい馬だと聞いていて、思った以上に速かったので余裕がありました。手ごたえはずっといい感じだったので自信をもって乗れました。(初めての右回りは)1~2コーナーだけ怪しところがありましたが、クリアしてくれてからは楽でした。最後は着差以上に余裕がありました。
矢野義幸 調教師
2戦目で川崎に行った時は物見をしていましたが、何回か走るうちに慣れてきたのでしょう、テンションが上がるわけでもないし、今回も普段通りでした。とりあえずグランダムのタイトルに向けてやっていきます。今日のレースぶりなら、もう少し距離が伸びても大丈夫だと思います。