今年の北海道2歳戦線は、ここまで重賞2勝馬がいないという混戦。一方JRAからの遠征馬も、4頭いずれもダート1勝馬という目立った活躍馬がいないメンバー構成。そうした中で、ここまで門別のダートでは無敗のプリモジョーカー、アザワクが人気を集めた。とはいえ両馬ともに単勝3倍台ということでは、他の多くの馬にもチャンスがあると考えられたのだろう。あとはJRAの2頭、ウィーンソナタ、ニシノミンクスまでが単勝一桁台のオッズだった。
好ダッシュを見せたのはクモキリだったが、内からプリモジョーカーが押してハナを取った。クモキリはアタマからクビほどの差で併走、直後にアザワクが続いて、4番手以下はやや離れた。
しかし前半3ハロン通過が33秒9はいかにもハイペースの消耗戦。4コーナーあたりでクモキリが脱落し、直線を向いて残り200メートルあたりでプリモジョーカーの行き脚も鈍った。単独で先頭に立ったアザワクがそのまま押し切るかにも思えたが、前半控えた馬たちがゴール前で一気に押し寄せてきた。
コーラルツッキーがアザワクを半馬身とらえたところがゴール。外から伸びたミナトノヨーコがさらに半馬身差で3着。4コーナー11番手から上り36秒5という脚を使って伸びたニシノミンクスは惜しくもハナ差4着。プリモジョーカーはなんとか5着に踏ん張った。
勝ったコーラルツッキーは好スタートを切ったものの、控えて先行集団のうしろ6番手あたりを追走。3~4コーナーでは大外を回らされることになったが、むしろ先行争いに巻き込まれず、直線でもラチ沿いから4、5頭ぶんあたり、この日の馬場で伸びていたところを通ることができた。単勝26.3倍と人気を落としていたのは、前走リリーカップで7着という大敗と、ここまでの3勝がすべて1000メートル戦だったためだろう。とはいえ「前走は出遅れで参考外、栄冠賞(3着)では最後まで脚を伸ばしていたように、むしろ1200メートルのほうが競馬がしやすいという思いはあったので、自信はありました」と田中淳司調教師。
一方、人気を集めた2頭を管理する角川秀樹調教師は、「アザワクはデキが目一杯までにはならなかった。それに流れが早く、コーナーで外に張り気味だったぶんです。プリモジョーカーはクモキリの内枠で行くしかなく、ずっと息の入らない状態で展開的に厳しかった。2頭とも力負けではないです」と悔しそうな表情。
11番人気ながら3着に入ったミナトノヨーコはアタックチャレンジを勝ったときも上り36秒7という末脚で差し切っていたように、ハイペースで縦長の中団よりうしろを追走という展開がハマった。
上位に入線した馬たちは、ペースや展開、位置取りなど少しずつの要素によって明暗が分かれる紙一重の差だった。
さて、グランダム・ジャパン2歳シーズンでは、ポイントの高いダートグレードのここを勝った地方馬は俄然有利となる。田中調教師は「(2歳シーズン最終戦の)東京2歳優駿牝馬までは(北海道所属のまま)使わせてほしい」とオーナーに伝えているとのこと。次走の選択肢のひとつ、川崎のローレル賞でも北海道所属のままなら★★他地区所属の高ポイントが期待できる。
Comment
服部茂史 騎手
内に行く馬がたくさんいて、あの枠順(15頭立て14番)ですから腹をくくっていました。(距離については)ひとつひとつ課題をクリアしてくれているので期待はありました。今回はしっかり折り合ってくれたので、距離が長くなっても大丈夫だと思いますが、それもクリアしていってほしいです 。
田中淳司 調教師
3コーナーではさすがに外を回らされすぎだろうと思っていましたが、よく勝ってくれました。1200メートルの栄冠賞でも、負けはしましたがジリジリ伸びていたので、服部騎手は自信を持って乗っていたと思います。とりあえずローレル賞を狙って、東京2歳優駿牝馬が最大の目標になると思います。