西日本で実施されるグランダム・ジャパンのスタートは、名古屋競馬場の若草賞。3歳シーズンの対象レースで唯一実施される1400メートル戦だ。東海地区以外からの遠征馬は、兵庫が3頭、浦和と佐賀から各1頭。そのなかで兵庫のリリコが単勝2番人気、佐賀のニュールックが3番人気に支持された。
しかしニュールックは、もともと小柄な馬体がマイナス14キロとさらに減って、400キロちょうどでの出走。「佐賀から11時間かかりましたからね。やっぱり遠いですよ」と東眞市調教師は仕方ないという表情をしていた。
また、浦和のボルドーシエルもマイナス15キロ。その2頭を含め、今年の出走馬は小柄なタイプがほとんどで、450キロ以上で出走したのはリリコ(488キロ)、ノーブルソレイユ(456キロ)、ゴールドリング(460キロ)の3頭だけだった。
そのなかの1頭、ゴールドリングが1.7倍という断然人気。前走のスプリングカップ(2着)でこのレースに出走している有力どころとは勝負付けが済んでいる上に、名古屋競馬場では4戦4連対という成績ならば、その数字になるのも当然だろう。
そしてゴールドリングはゲートが開いた瞬間、すぐに加速して大外枠から先手を取ることに成功した。逃げ先行で結果を残していたハッピーフライトはゴールドリングの直後につけたが、2コーナーで脚元に異常が発生して競走を中止。佐賀での4勝が逃げか2番手からだったニュールックはそのうしろの集団を進んだ。
その一方で、ゴールドリングは完全に“一人旅”。リリコはスタートひと息で後方から徐々に位置取りを上げて3~4コーナーで2番手に上がったが、その時点で先頭との差はあまりにも大きかった。
「スタートが速かったので」と、勝利に導いた友森翔太郎騎手は笑顔。この日、友森騎手は地方通算300勝を達成しており、節目勝利へのプレッシャーから解放されたことが後押しになったのかもしれない。
7馬身差の2着はリリコだったが、田中範雄調教師は「次の東海クイーンカップも出走を申し込んでありますよ。でもまたあの馬に負けるんでしょうけど」と苦笑い。そこからさらに4馬身差の3着にはトリマゴラッキが入った。「今日は馬場の外側が伸びないコンディション。それでも差を詰められたのは良かったかな」と村上弘樹騎手は振り返ったが、ゴールドリングとの着差はスプリングカップのときよりも広がってしまった。
圧勝という結果を手にしたゴールドリングは、3週間後(4月16日)の東海クイーンカップを目指す予定。「(愛知所属で9戦9勝の)エムエスクイーンはいますけれど……」と友森騎手は話した。しかし同馬の動向次第では、ゴールドリングが東海地区の代表馬として名をあげていく可能性は十分にあるだろう。
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友森翔太郎 騎手
レース前は2番手か3番手でもいいかと思っていたんですが、引っかかってしまうくらいの勢いで先手を取れて、最後までそれが持続しましたから、乗っていて「強いな」と思いました。前走は砂をかぶる競馬になって、それでも2着でしたから、精神的にも成長しているように感じます。
塚田隆男 調教師
エムエスクイーンがいないなら、ここは勝っておきたいと思っていましたね。相手関係が分からなかったので、騎手には無理に逃げなくてもいいと話しました。今回は追い切りで力んで走ったので翌日に疲れが出たのですが、すぐに回復しましたね。今後の方向性は、次の東海クイーンカップの結果次第で考えます。