浦和・桜花賞を圧勝した直後、「東京ダービー直行」(小久保智調教師)と話していたトーセンガーネットだが、ダメージがなかったことで牝馬の二冠目を狙ってきた。一方、桜花賞では不利な外枠だったこともあって中団からとなり、自分のレースができず3着だったアークヴィグラスにとっては仕切り直しとなる一戦。断然人気はトーセンガーネットだが、この2頭の馬連複が1.9倍と人気が集中した。
そして多くのファンが期待したとおり、直線は人気2頭の一騎討ちとなった。
好ダッシュはリトミックグルーヴだったが、アークヴィグラスが難なくハナを奪い、桜花賞2着だったゼットパッションがピタリと2番手。トーセンガーネットは行きたがるのを抑えて直後の3番手。ダバイダバイも続き、桜花賞上位馬が前を固めた。
向正面半ばからは前3頭が一団のまま、4番手以下との差を徐々に広げた。そして4コーナー手前、ゼットパッションの手ごたえが怪しくなると、人気2頭の勝負は直線へと持ち込まれた。
終始、主導権を握っていたのはアークヴィグラスで、トーセンガーネットは1馬身ほどの差をなかなか詰めることができない。しかし残り100メートルの手前、アークヴィグラスの行き脚が鈍った。そのままトーセンガーネットが突き抜けると、2馬身差をつけての勝利。5番手から直線伸びたリトミックグルーヴが重賞初挑戦ながら2馬身半差で3着に入った。
人気2頭、どちらも持てる能力を発揮した好勝負だった。
逃げたアークヴィグラスの1000メートル通過は64秒8。「いいペースに持ち込めましたが、最後の100メートルで止まった。マイルまでなら相当やれると思います」と森泰斗騎手。
一方のトーセンガーネットは、距離延長でも最後までしっかり脚を使って他馬を完封。圧倒的な強さで南関東牝馬二冠を達成した。次走について小久保調教師は、「東京ダービーか、関東オークスか、オーナーが決めると思います」とのこと。
グランダム・ジャパン3歳シーズンでは、7ポイントを加えたトーセンガーネットが、名古屋のゴールドリング(20ポイント)に次ぐ17ポイントで2位につけた。
トーセンガーネットは、東京ダービーを狙うのか、関東オークスJpnⅡで牝馬三冠を狙うのか。グランダム・ジャパンのタイトルを目指す他陣営にとっても気になるところだろう。シリーズ最終戦のエクストラポイント(地方馬だけの1位~3位入線馬に加算)まで考えると、その能力の高さを考えれば、トーセンガーネットが女王の座にもっとも近いといえそう。しかし、仮にトーセンガーネットが関東オークスJpnⅡ不在となれば、このあとの留守杯日高賞(4月29日・水沢)、のじぎく賞(5月16日・園田)でポイントを重ねた馬たちにも俄然チャンスが広がる。
Comment
左海誠二 騎手
アークヴィグラスを見ながら、思い描いたとおりの競馬になりました。ただ(アークヴィグラスを)楽に逃した感じはあったので、直線半ばまで少し不安もありましたが、終いの脚はしっかりしているので、思ったとおり最後はしっかり交わしてくれました。距離はさらに延びても不安はありません。
小久保智 調教師
(レース前)馬は普段と変わらない様子で、むしろ人間のほうが気負っている感じでした。ジョッキーとは、逃げるのだけはやめようと、今後のことも考えて、我慢しながら最後に弾けるレースをしようと話していました。思っていたとおりのレースだったと思います。