転入初戦馬が自信に裏付けられた勝利
1番人気馬は3着で着実にポイント加算

　全日本2歳優駿JpnⅠを筆頭にJRA交流重賞を5勝。全国にその名をとどろかせた笠松が誇る快速牝馬・ラブミーチャン。引退して4年が経ったが、そのスピードと強さは今でも語り草で競馬ファンの脳裏に強く残っている。
　その名を冠したグランダム・ジャパン（GDJ）2歳シーズン対象レースの第4回ラブミーチャン記念が11月9日、笠松競馬で行われた。
　1番人気は金沢シンデレラカップを制し、このレースを迎える時点でGDJのポイントで2位につけ、さらなる加算で首位を狙うエグジビッツ（北海道）。続いて道営からの転入初戦ながら、フレッシュチャレンジ勝ちの素質馬チェゴが2番人気に支持された。
　そんな中、レースを制したのはチェゴ。スタートこそさほど良くなかったが、外枠からスタンド前では3番手をキープ。堂々とハナを切って引っ張るエグジビッツを3コーナーから捕まえにかかり、4コーナー手前で並びかけた時には手応えの差は歴然。「レース前のイメージ通りエグジビッツをマークして進めました。道中は楽でしたが、少し仕掛けは早かったかもしれません」と佐藤友則騎手は語るが、直線を向いてからも脚いろは衰えることなく堂々と押し切った。
　追い切りが好感触で佐藤騎手は「かなり調子がいいと思うし、勝ち負けになると思います」と自信の表情だったが、レース後のインタビューでも「勝って当然の馬だと思ってました」と佐藤節全開で集まったファンを沸かせていた。自分から積極的にレースを作りにいって、最後までバテなかったのは地力のある証拠だし、スタートが少し悪かったものの、道中は器用に立ち回れていた上、折り合いもしっかりついており、陣営が心配していた気性面も大きな不安はなさそうだ。
　2馬身半差で2着には末脚鋭く追い込んできたバレンティーノ。「脚を余し気味なので1600メートルでさらに楽しみ」との戦前の尾島徹調教師のコメント通り、道中は後方で脚をタメていたとはいえ、向正面半ばから息の長い脚を駆使。最後は1頭だけ目立つ脚いろだっただけに、今後の距離延長や大きなコースへ替わればさらに前進が見込めそう。
　1番人気ながら3着に敗れたエグジビッツだが、勝ち馬に早めに揺さぶりをかけられた上に、最近の笠松は比較的、逃げ馬受難の馬場状態が続いているのが堪えたか。むしろゴール直前まではバテていなかったし、今回だけで評価を下げるのは早計だろう。勝てはしなかったが、ポイントも加算できたし、今後のGDJ2歳シーズンでの巻き返しに期待したい。
　そのほかの遠征勢は「チークピーシズの効果でいつもよりついていけたけど、気の悪い面を見せたしローテが詰まっていたぶん少し疲れはあったかも」と赤岡修次騎手が語ったアクアレジーナ（大井）が6着、「いいところに潜り込めたけど勝負どころでついて行けなかった」と竹村達也騎手が語るエンジェルアイドル（兵庫）が7着、「できればハナに行きたかったですが」と見越彬央騎手が作戦を立てていたケイティーヒナノ（浦和）が8着という成績だった。
　結果的に1～3着は道営出身馬と、現在の地方競馬における勢力図を再認識させられる結果ではあった。しかし転入初戦ながら笠松所属馬が勝てたことは、地元勢の今後の重賞戦線での活躍へいい弾みがついたことは間違いなく、第二のラブミーチャンの出現を心待ちにしたい。