グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
園田プリンセスカップ 9/21(木) 園田 1,400m 北陸・東海・近畿
エーデルワイス賞 JpnⅢ 10/12(木) 門別 1,200m 北海道
金沢シンデレラカップ 10/17(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ローレル賞 11/7(火) 川崎 1,600m 南関東
ラブミーチャン記念 11/9(木) 笠松 1,600m 北陸・東海・近畿
プリンセスカップ 11/26(日) 水沢 1,400m 東北
東京2歳優駿牝馬 12/31(日) 大井 1,600m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で8年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2017(グランダム・ジャパン2017)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

思い切った逃げで後続を寄せ付けず
地元トップを狙う若手が重賞初勝利

 グランダム・ジャパン2歳シーズンの第3戦は、2016年からこのシリーズに加わった金沢シンデレラカップ。昨年は地元のヤマミダンスが期待に応えて優勝し、その後、全国的にも注目を集める存在になった。今年は、金沢プリンセスカップを制したシオジスターを筆頭に地元からは4頭が出走。他地区からは、北海道4頭、大井1頭、兵庫1頭が参戦した。
 シリーズ第1戦、第2戦とも、北海道勢が上位を独占し層の厚さを示している。そしてそのどちらのレースも制覇したのが角川秀樹厩舎所属馬だ。今回は園田プリンセスカップを勝ったサラヒメが出走ということで、やはり人気の中心。単勝1.9倍で1番人気の支持を受けた。しかし、その勢いを阻んだのは、同じ北海道の田中淳司厩舎の2頭だった。
 ゲートが開くとすぐに見せ場が訪れた。好スタートをきったサラヒメが一歩リードし、そのまま逃げるかと思いきや、外からエグジビッツが何が何でもの構えを見せたのだ。それを見たサラヒメは2番手に控えた。そのうしろにシオジスター、アイムホームと続き、2番人気のビジネスライクは5番手でレースを進めた。
 3コーナー手前でビジネスライクが一気に動き出しサラヒメを交わした。サラヒメは懸命に食い下がったが直線に入ってからは伸びきれなかった。最後は、田中厩舎2頭の一騎打ち。逃げるエグジビッツにビジネスライクが外から迫ったが、結局馬体が並ぶことはなく、エグジビッツが鮮やかに逃げ切った。2着のビジネスライクから9馬身離れた3着にサラヒメが入り、またもや北海道勢が3着内を独占した。
 田中厩舎の作戦勝ちともいえるこの勝利。田中調教師は、エグジビッツに初騎乗の中島龍也騎手に「相手はサラヒメ1頭だから思い切って行ってくれ」と伝えたという。それに対し中島騎手は「行くしかない。意地でも逃げてやろう」と心に決めたとのこと。そんな気迫がスタート後の追う姿に表れていた。
 「道中は折り合いが抜群だったので、ここから反応してくれれば後ろから来られても負けないだろうという感触がありました。直線で吉原騎手が来ても、もうひと伸びしてくれたし凄い馬だなと思います」。この中島騎手の言葉からも完勝という内容だったようだ。
 ビジネスライクの吉原寛人騎手は「切れる脚がなくて小回りコースというのは厳しいですね。あれだけしっかり逃げられてしまったら仕方ないです」と振り返った。
 一方、2頭に大きく離されてしまったサラヒメ。「田中厩舎が2頭いたのでマークされる予想はしていましたが、中島騎手が行ったときは攻め込まれたと思いました。距離も少し長かったのかもしれませんが、最後は手応えがなかったですね」と吉村智洋騎手はコメントを残した。
 エグジビッツを勝利に導いた中島龍也騎手は自身も嬉しい重賞初制覇となった。デビューから4年目の若手だが、この日の勝利もあって金沢リーディング2位に躍進。
「そろそろ重賞を勝たなければとは思っていました。今後の目標は金沢リーディング。来年には獲りたいと思っています」と、はつらつとした笑顔の中に勇ましさを感じた。これからの金沢競馬を背負って立つであろう中島騎手。今後の活躍を楽しみにしたい。
 グランダム・ジャパンのポイントでは、エグジビッツとサラヒメが22ポイントで1位に並んだ。今後もこの2頭の争いは注目となりそうだ。3位にはエーデルワイス賞JpnⅢを制したストロングハートが20ポイントで続いている。
中島龍也騎手
重賞初制覇の実感はまだわかないですね。今日の馬場は何が正解か分からない状態だったので、馬の能力を引き出すように乗ろうとだけ考えていました。牝馬ですが根性が据わっていますね。そんなに楽な競馬じゃなかったはずなのに。北海道の馬には初めて騎乗しましたがやはりレベルが違うなと思います。
田中淳司調教師
前走はスムーズな競馬ができなくて負けたと思っていたので、今回は勝負に出てしっかり結果が出て良かったです。やはり小回りの1周コースは合いますね。今日は馬場にも恵まれた部分があったし、今後同型がいた時にどうなるかは課題ですね。次走は水沢のプリンセスカップを予定しています。


取材・文:秋田奈津子
写真:早川範雄(いちかんぽ)