3歳秋のチャンピオンシップ

 本シリーズは、各地の3歳主要重賞競走を戦った有力馬が11月に実施されるダービーグランプリへと集結し、地方競馬の3歳王者の座を争うもので、カテゴリーに応じてボーナス賞金(馬主)が設けられています。

 充実の秋、成長の秋、飛躍の秋など競走馬にとって大きな意味合いを持つ「3歳秋」を舞台に繰り広げられる熱戦にご期待ください。

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力量の違いを見せつけ後続を完封
6馬身差の圧勝で佐賀二冠を達成

 ロータスクラウン賞は以前よりダービーグランプリの四国九州地区指定競走となっていたが、今年創設された『3歳秋のチャンピオンシップ』においては、優勝馬がダービーグランプリを勝つとボーナス300万円となる“カテゴリーC”に分類された。
 佐賀競馬場は馬場改修工事のため、8月下旬から約1カ月の休催期間を取り、ロータスクラウン賞の週が開催再開初週となった。直近1カ月にレースがないため、調整の難しさもあったのだろうか、春の3歳S1重賞路線で活躍した馬の中には栄城賞以降出走していない馬もおり、花吹雪賞馬オヒナサマ、九州ダービー栄城賞4着のハクユウロゼなどはロータスクラウン賞にも登録がなかった。
 一方、栄城賞を勝ったスーパーマックスは、休催期間中にJRA小倉の小倉日経オープンへ遠征(8着)するなど、栄城賞後に3戦を消化してロータスクラウン賞へ出走。他の佐賀所属馬5頭のうち、2、3歳のS1重賞で掲示板内の実績があるのはロイヤルピンク1頭のみというメンバー構成。スーパーマックス1強の中、高知所属の2頭のうち、花吹雪賞2着のタッチスプリントがスーパーマックスにどこまで迫れるか?というのが戦前の評価となった。
 スタート直後にすんなりとスーパーマックスがハナを奪うと、2番手にロイヤルピンク、その内の3番手にガブリキックと隊列が定まり、タッチスプリントは4番手を追走した。これまでの佐賀コースは内の砂が深く設定されており、内ラチ沿いを開けてレースを進めていたが、今回の馬場改修で内外均等の深さに変更された。そのため、従来は開けていた内のスペースを進んでいくレース展開となった。
 軽快に逃げるスーパーマックスを追って、3コーナーではタッチスプリントが2番手まで進出してきたが、スーパーマックスを脅かすまでには至らなかった。直線に入るとスーパーマックスが楽々と後続を引き離し、外から進出して2着に食い込んだ高知のナムラミルクに6馬身の差をつけての圧勝となった。
 勝ったスーパーマックスは栄城賞と合わせて佐賀3歳二冠を達成。3歳春に大井に転出していた時期があり、一冠目の飛燕賞には出走がなく、またこの転出で所属場の生え抜き馬のみに出走資格が与えられる西日本ダービー(10月22日、佐賀)の出走権を喪失している。
 ダービーグランプリでのボーナス権利を獲得したが、管理する九日俊光調教師は、ダービーグランプリへの出走については「ない」と明言し、「(JRA認定の権利のある)3歳のうちにもう1度芝を使いたい。今日の勝利で1600万条件は卒業したので、オープン特別になりますが、掲示板に入れるようなところをじっくりと考えたいので“次のレース”というのは未定です。出るとなれば、坂路のある牧場に放牧に出して鍛え直す必要があるかもしれません。佐賀のレースは、出るとしても中島記念になると思います」と、JRA芝への再挑戦を表明した。
鮫島克也騎手
まだ夏負けが残っていて、馬自体はよくなってきていますが、ちょっとまだ元気がないですね。涼しくなってくれば、もっと良くなると思います。1コーナーで手前を替えられず、外に膨れてしまったので、そこは修正したいですね。芝の方が走ると思います。
九日俊光調教師
小倉日経オープンの後はまだ暑かったので、少し楽をさせて、馬体が減らなければいいかなと思っていたら、ちょっと太くなりました。京都か阪神の芝を考えていますが、西日本ダービーには出られない分、逆に今後のレースの選択肢は広がりました。


取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)