好スタートから抜群のダッシュ力
地元期待の牝馬が後続を振り切る

　3年連続で他地区からの遠征馬が優勝している園田FCスプリント。なかでも高知勢は昨年と3年前に勝利して、一昨年と5年前が3着。今年も2頭を送り込んで、カッサイが単勝1番人気、スクワドロンが4番人気に支持された。
　とはいえ、カッサイは高知で7連勝中ながら、在籍しているクラスは条件級。果たして遠征競馬での超短距離戦でどうなのかという心配からか、専門紙では重い印がそれほどなく、無印にしている記者もいた。
　対する地元勢では、ランドクイーンが2番人気で最上位。前走は1230メートル戦で5着に敗れていたが、先手を取ったスピードをファンは評価したようだ。
　3番人気はエイシンアクロン。こちらも前走が8着とふるわなかったが、2走前は1230メートル戦でランドクイーンを相手に逃げ切った。これにスクワドロンを加えた4頭が単勝10倍以下。そして10倍強に3頭が続く状況は、上位拮抗ながらも伏兵多数という感の分布になった。
　午前中から小雨が降ったり止んだりという空模様も、メインレースの本馬場入場後には薄日が差し、人の影ができるほどに回復。しかし馬場状態は重のままで、さらにインコースには先日から断続的に砂が補充されたとのことで、この日は各騎手が内側をすこし開けて馬を走らせている様子が見受けられた。
　しかしながら、それは820メートル戦ではあまり関係ないことなのかもしれない。ゲートが開いた瞬間、すこしでもいい位置を取ろうと各馬が一斉に飛び出していった姿は壮観だった。
　そんななか、スクワドロンが後手を踏んでしまった。「ゲートがあまりよくないとは聞いていたんですが……」と、木村健騎手。さらにそのあとつまずいてしまうという不利があっては、そこから挽回するのは難しかった。
　逆に、上位人気の3頭は好スタートから猛烈にスパート。なかでもランドクイーンのダッシュは鋭かった。その直後にカッサイとエイシンアクロンが続き、3コーナーからはランドクイーンとカッサイが併走する状況になった。
　4コーナーではカッサイの勢いが上回っているようにも見えたが、コースロスが少ない内側を走ったランドクイーンは、迫る強敵を突き放した。最後に3/4馬身差をつけて勝利した内容は、この距離ならば完勝と言ってよさそう。JRA時代を含めて、すべて逃げ切りでの6勝目となった。
　2着に敗れたカッサイは、騎乗した永森大智騎手が「先頭に立ちかけたら、また向こうが伸びました。10番枠は外すぎましたね」と悔しそうに振り返った。それでもこの距離でスピードを発揮できたことは、今後の糧になるはず。高知に移籍してからの連続連対記録を9に伸ばしたことも立派で、引き続き注目できそうだ。
　これで、スーパースプリントシリーズのトライアルはすべて終了。次はファイナルの習志野きらっとスプリントになるが、ランドクイーンを管理する盛本信春調教師は「船橋で強い相手と戦わせたい気持ちはあります」と、意欲を示した。最終的には「馬主さんとの相談」で判断されるとのことだが、ここでコースレコードに0秒1差というスピードを見せただけに、陣営は今後の選択に迷うことだろう。