各地で行われる2歳馬による重賞競走のレースハイライトをピックアップしてお届け。

第11回 金沢プリンセスカップ

9/18(日) 金沢 1400m  ヴィーナスアロー

金沢で今季初となる2歳重賞「金沢プリンセスカップ」は、
パイロ産駒ヴィーナスアローが制してデビューから5連勝!

 2005年に創設され、今年で11回目の開催となった2歳牝馬の重賞「金沢プリンセスカップ」。今年から10月に『グランダム・ジャパン』2歳シーズンの指定競走「金沢シンデレラカップ(1500m)」が新設されたことにより、施行距離を1400mに変更して実施された。

 北海道からの移籍初戦となる2頭を含めた11頭立て。人気は、地元デビューから土つかずの4連勝でここに駒を進めてきたヴィーナスアロー(牝、金田一昌厩舎、父パイロ)が1.3倍と圧倒的な支持を受けた。6月の新馬戦を7馬身差で圧勝したのち、2戦目の特別戦を3馬身差、3戦目の準重賞を1馬身半差、そして4戦目のJRA認定競走・サードニクス賞を3馬身差で、いずれも危なげなく勝利。地元デビュー組とはほとんど勝負づけが済んでおり、あとは移籍組との力関係。地方の馬場で爆発的な強さを誇るパイロ産駒というのも、この先が楽しみになる血統背景だ。

 2番人気(5.0倍)は、北海道から移籍してきたバーバリアン(牝、金田一昌厩舎、父マンハッタンカフェ)。5月デビューから門別で5戦し、1勝、2着1回、3着1回という戦績。レベルの高いホッカイドウ競馬で揉まれてきたことに加え、ここ2戦は逃げて安定したレースをしていることも評価されたのだろう。

 3番人気(8.2倍)は、JRA認定・サファイア賞の優勝馬ゴールドハリアー(牝、黒木豊厩舎、父ネオユニヴァース)。ヴィーナスアローとは2度対戦し、2着、3着という結果。ここまでのところ、金沢デビュー組の2歳牝馬の中ではヴィーナスアローに次ぐ2番手という位置づけだ。

 以上の3頭が10倍を切るオッズで、もう1頭の北海道からの移籍馬スターグルーヴ(牝、黒木豊厩舎、父サムライハート)が4番人気(11.4倍)でつづいていた。

 朝から雨が降りしきる中、不良馬場でのゲートインとなった「第11回金沢プリンセスカップ」。好スタートからハナを奪ったのは7枠8番のアガタピアス(牝、藤木一男厩舎、父エムオーウイナー)で、大外スタートのバーバリアンがそれを追いかける展開。ヴィーナスアローは4番手で馬群の中を進み、ゴールドハリアーは最後方という隊列で向正面に差し掛かる。3コーナーでゴールドハリアーが仕掛け、外をまくって4コーナーでは一気に先頭へ並びかけるところまで上がってきた。それにも動じず、ヴィーナスアローは馬群の中でじっと脚を溜めている。直線に入り、粘り込みを図るバーバリアンと、勢いをつけて追い上げてきたゴールドハリアーが内外離れての叩き合いに。ゴールまで残り200mのハロン棒を過ぎ、2頭で勝負あったかと思われたところに、その間を割って異次元の脚で伸びてきたのがヴィーナスアロー。並ぶ間もなく2頭を交わし、半馬身の差をつけて先頭でゴール板を駆け抜けた。2着には内でバーバリアンが粘り、結果的には3着まで人気通りの入線順となった。

 デビューから不敗の5連勝を収めたヴィーナスアローは、ホッコータルマエなどの生まれ故郷として知られる市川フアーム(浦河町)の生産馬。管理する金田一昌調教師は昨年のグランスーリールにつづく連覇達成となり、同レースは通算4勝目。鞍上の田知弘久騎手は、同レース初制覇となった。

 このあと、10月18日のグランダム・ジャパン「金沢シンデレラカップ(金沢)」はもちろんのこと、牡馬相手となる11月1日の未来優駿「兼六園ジュニアカップ(金沢)」や、11月27日の「金沢ヤングチャンピオン(金沢)」でも主役を務めそうなヴィーナスアロー。その連勝がどこまでつづいていくか、北陸の2歳戦線が楽しみになってきた。

文:浜近英史(うまレター)