各地で行われる2歳馬による重賞競走のレースハイライトをピックアップしてお届け。

第41回 秋風ジュニア

9/9(金) 笠松 1400m  メモリーロイヤル

数々の名馬が制してきた笠松伝統の「秋風ジュニア」を、
ホワイトマズル産駒のメモリーロイヤルが快勝!

 準重賞ながら、過去にオグリキャップ、ライデンリーダー、フジノテンビーなど、全国区の著名馬が制してきた「秋風ジュニア(1400m)」。数々の名馬を送り出してきた笠松競馬が誇る伝統の2歳戦だ。

 第41回となる今年、その出世レースにエントリーした笠松所属馬は10頭。ドンドンドン(牡、井上孝彦厩舎、父ブラックタキシード)が取り消して9頭立てとなったが、10月の「ジュニアクラウン」、11月の「ラブミーチャン記念」、12月の「ジュニアキング」「ライデンリーダー記念」とつづいていく地元の2歳戦、また東海地区で行われる未来優駿シリーズ「ゴールドウィング賞(名古屋)」「兼六園ジュニアカップ(金沢)」などをめざす若駒たちの登竜門レースに大きな注目が集まった。

 まだ経験の浅い成長途上の馬たちによる戦い。未知数な部分も多く上位人気は拮抗したが、最終的に1番人気(2.4倍)の支持を得たのはレッドレイジング(牝、笹野博司厩舎、父サムライハート)だった。ここまで4戦1勝だが、1か月前に行われた同距離の前走を4馬身差で圧勝。その時に退けた馬が4頭出走してきているとあり、再度の快走に期待が高まった。

 差のない2番人気(3.0倍)に、こちらも前走が4戦目で初勝利だったマルヨアキト(牡、柴田高志厩舎、父トビーズコーナー)。新種牡馬トビーズコーナーの産駒で、半兄に南関東で活躍したクレイアートビュンがいる血統馬だ。

 3番人気(4.7倍)は、ここまで3戦2勝のメモリーロイヤル(牝、川嶋弘吉厩舎、父ホワイトマズル)。1番人気に推された前走はレッドレイジングに敗れたが、デビューから2連勝は将来性を感じさせる内容で、このレースに雪辱を期して巻き返しを狙ってきた。

 4番人気(6.2倍)に2戦1勝とキャリアの浅いカサマツブライト(牝、尾島徹厩舎、父アドマイヤムーン)が推され、ここまでの4頭が10倍を切るオッズ。確固たる中心馬は見当たらず、展開次第でどの馬にもチャンスがありそうな混戦模様となった。

 晴天、良馬場と絶好のコンディションの中、ゲートが開いて先手を奪ったのはシグラップサビーネ(牝、笹野博司厩舎、父ロードアルティマ)。それをピッタリとマークするように、大外スタートのメモリーロイヤルが2番手につける。インディーゴ(牝、尾島徹厩舎、父ヨハネスブルグ)、レッドレイジング、マルヨアキトらも差がなくつづき、一団となったまま3~4コーナーへ。そこでメモリーロイヤルが前を交わして先頭に立つと、直線でも脚を伸ばして悠々とゴール板を駆け抜けた。2馬身半差の2着にマルヨアキトが入り、3頭による際どい3着争いは写真判定の結果、インディーゴがアタマ差だけ残していた。

 優勝したメモリーロイヤルは、2010年の鎌倉記念優勝馬キスミープリンスと同じ成隆牧場(浦河町)の生産馬。菊花賞馬アサクサキングスなど、多くのGⅠ馬を送り出しているホワイトマズルの産駒で、母メモリーフェミナの初仔になる。これでデビューからの戦績を4戦3勝とし、笠松所属2歳勢を引っ張るエースとして一歩リードした形だ。牝馬なので、今後の選択肢は「グランダム・ジャパン」「未来優駿シリーズ」など幅広くなることだろう。さらに成長した姿をどの舞台で見せてくれるか、メモリーロイヤルの次走を楽しみに待ちたい。

文:浜近英史(うまレター)