遠征馬相手に示した能力の高さ
後続を寄せ付けず無傷の3連勝

　金沢の2歳牝馬重賞では、一昨年、昨年と、10月上旬に行われていた金沢プリンセスカップが今年は2週ほど繰り上がり、10月に新設された金沢シンデレラカップがグランダム・ジャパン（GDJ）2歳シーズンに加わった。これによって同2歳シーズンは、今年から全7戦で争われることになった。
　注目となったのは地元の無敗馬2頭、5連勝のヴィーナスアローに、2連勝のヤマミダンス。対するは経験豊富な北海道からの遠征馬3頭。結果、その5頭で掲示板を占めることになったが、勝ったのは単勝1.9倍の断然人気、地元のヤマミダンスだった。
　出ムチを入れてハナをとりに行ったのはヤマミダンス。2番枠ゆえ包まれたくなかったのだろう。イケノアサ、メモリーロイヤル、フィールザファイアが続き、スタートでタイミングが合わなかったアンジュジョリーはやや離れて5番手からの追走となった。
　快調に逃げるヤマミダンスは、3コーナー手前でイケノアサに迫られたもののすぐに振り切り、4コーナーでは内を突いたフィールザファイアに迫られたが、これも直線を向いて振り切った。さらに直線半ば、地元期待のもう1頭ヴィーナスアローがラチ沿いから、外からはアンジュジョリーが伸びてきた。次々と襲いかかる北海道勢と地元のライバルを蹴散らし、ヤマミダンスは危なげなく逃げ切って見せた。
　2馬身差の2着には北海道のアンジュジョリー、アタマ差で3着にヴィーナスアローが入った。
　勝ったヤマミダンスは金沢デビューだが、一旦は門別に入厩し、能力検査も門別で受けていた。もともと北海道でデビューして金沢に移籍する予定だったが、デビューが遅れ、しかし金沢での目標はある程度決まっていたため、北海道ではレースに出走することなく、金沢に入厩したとのこと。
　4着フィールザファイア、5着イケノアサを管理する北海道の角川秀樹調教師は、門別で調教されていた当時のヤマミダンスを覚えていて、北海道でも十分に勝負できる能力はあると見ていたという。それだけに、2着のアンジュジョリーも含め、北海道では重賞に出走していないレベルの馬では太刀打ちできなかったという結果だった。
　ヤマミダンスの母キウィダンスは、現役時名古屋に所属して重賞9勝を挙げた活躍馬。金沢に遠征して読売レディス杯を制したこともあった。ヤマミダンスを管理する中川雅之調教師は、当時騎手として同じレースに騎乗したこともあり、キウィダンスのことはよく覚えているという。その母親にすごく似ていると思い、馬主さんにお願いして管理させてもらうことになったのがヤマミダンス。
　今後については馬主さんの意向を聞いてからとのことだが、中川調教師は「個人的な思いとしては…」と断った上で、「東京2歳優駿牝馬には挑戦させたい」とのことだった。