直線後続を振り切り5馬身差圧勝
2歳女王を狙う逸材が期待に応える

　今年は、グランダム・ジャパン（GDJ）古馬シーズンの最終戦、レディスプレリュードJpnⅡの開催が例年より10日ほど早まり、そこで2着と大健闘を見せた兵庫のトーコーヴィーナスがGDJ古馬シーズンで見事に優勝。レース後、笑顔の吉行龍穂調教師は、「明後日も期待していてください」と話していた。
　その2日後に行われたのが、GDJ2歳シーズンの初戦、園田プリンセスカップ。吉行調教師が期待を寄せていたナンネッタは、その言葉どおり、他馬を寄せ付けない圧倒的な強さを見せた。
　好スタートは、地元兵庫のもう1頭の期待馬、3番人気のエピステーメだったが、出ムチを一発入れられた断然人気のナンネッタは勢いがつき、一気にハナを奪った。これにコパノアーデン、フィールザファイアら北海道からの遠征勢が続いた。
　ナンネッタが向正面でペースを落とすと、コパノアーデンが並びかけてきた。しかし迫られたぶん差を広げ、コパノアーデンが後退すると、3コーナーではフィールザファイアが迫った。さらに前半は中団にいたイケノアサも3番手まで押し上げ、ナンネッタは北海道勢の徹底マークを受けた。
　しかしそれらをまったく意に介さず。直線ではあっという間に後続との差を広げ、楽々と逃げ切って見せた。
　5馬身差の2着に、2番人気の支持を受けた北海道のフィールザファイアで、さらに3馬身差がついての3着には地元の伏兵セカンドインパクトが入った。
　勝ったナンネッタは、台風一過でタイムの出やすい湿った馬場だったとはいえ、勝ちタイムの1分28秒9は、このレースが重賞に格上げされた2005年以降最速のタイム。「3コーナーでは物見をしてフワフワしていた」（大山真吾騎手）というから、まだまだ余裕があっての圧勝だった。
　馬名に“トーコー”の冠号こそ付いていないものの、馬主はトーコーヴィーナスと同じ森田藤治さんで、吉行調教師、大山騎手と、2日前にGDJ古馬シーズン優勝を決めたトーコーヴィーナスとまったく同じチームでもたらされた勝利となった。
　吉行調教師は、グランダム・ジャパンのシリーズが始まった当時から積極的にこのタイトルを狙っていて、初年度の2010年にはキーポケットで古馬シーズンを優勝。トーコーヴィーナスでは、昨年3歳シーズンを制し、そして今年も見事に古馬シーズンの女王に輝いた。しかしGDJ2歳シーズンではまだ3位以内の表彰がなく、そのタイトルを狙うナンネッタの次走は、2歳シーズンの第4戦、川崎・ローレル賞を見据えている。