毎年秋に行われる各地の2歳主要競走(計7レース)を短期集中施行するシリーズ(2008年創設)。2016年は10月5日から、11月1日まで、未来を期待される優駿たちの戦いが繰り広げられます。
3歳馬によるダービーウイーク同様、各地の主要競走が短期間で楽しめる贅沢感や、先々への期待感を醸成できることが、このシリーズ最大の魅力。また、11月以降のダートグレード競走(11/1・門別競馬場・北海道2歳優駿、11/23・園田競馬場・兵庫ジュニアグランプリ、 12/14・川崎競馬場・全日本2歳優駿)への期待感を高めることも期待されます。
早め先頭から人気馬をしりぞける
今年で9回目を迎えた兵庫若駒賞は、オオエライジンやトーコーヴィーナスなど、後の兵庫の看板馬を輩出してきた出世レース。そんな注目の一戦に、これまでにない新たな歴史が刻まれた。
有力視されていた、園田3戦3勝で中央にも挑戦(7着)したブレイヴコールと、園田プリンセスカップの勝ち馬で2戦無敗のナンネッタが体調が整わず回避。出走馬12頭中、半数の6頭が未勝利馬、5頭が1勝馬という少し小粒なメンバー構成となった。
単勝1番人気はスターレーンで断然の1.6倍。道営2勝で転入初戦だった10月6日のJRA認定アッパートライも勝っている実績は今回のメンバーでは抜けた存在で、人気が集中するのも当然と言えた。
2番人気は、アッパートライでスターレーンに2馬身差まで迫ったキューティハーバーで2.9倍。装鞍所に入る前に厩務員を蹴り、右腕を負傷させるアクシデントも。幼い気性面に課題をのぞかせた。この2頭が単勝1桁台で、大きく離れて新子雅司調教師、下原理騎手の“リーディングタッグ”によるナチュラリーが11.3倍。門別のJRA認定競走で3、4着があるエイシンウルルが17.6倍で続いた。
オッズこそ2強だが、有力馬2頭の回避でチャンスありと見ていた陣営も多かったようで、スタート直後から激しい流れ。内にはナチュラリー、キョショウ、負傷した松浦政宏騎手から笹田知宏騎手に乗り替わったコパノアーデンらが先行すると、外から行く構えを見せていたスターレーンは3頭の後ろに控えて4番手。1コーナー手前でキョショウがハナを奪うもコパノアーデンが外にぴったり。ハイペースのまま縦長の展開となった。
3コーナー手前で3番手からナチュラリーが動き、前の2頭を飲み込み早め先頭。スターレーンもスパートを開始し外から猛追。ゴール前は粘るナチュラリーとジワジワ伸びるスターレーンに、内からセカンドインパクトが猛追するも、ナチュラリーがスターレーンをハナ差抑えた。下原騎手は「最後は脚が上がっていたし、勝ったかどうか分からなかった」とホッとした様子で振り返った。
兵庫若駒賞だけでなく兵庫県競馬史上(サラブレッド導入後)初となる未勝利馬の重賞勝ちとなったが、決してフロックではない。他の1勝馬を抑えて3番人気だったことでも分かるように、能力の高さは評価されていた。新子調教師は勝因として、放牧先で乗り込んだ坂路での調教効果を挙げる。
「前走後に3週間ほど、宇治田原優駿ステーブルの坂で、僕自身が乗りに行って感触を確かめた。前走との比較で、すごく良くなっているのが分かっていたし、園田のコース調教ではかけられない負荷もかけることができた」と、2年連続の兵庫リーディングに向け快走中の新子調教師は笑顔を見せた。
新子調教師の代表馬と言えば、2014年のかきつばた記念JpnⅢを勝ったタガノジンガロだが、同馬もやはり、レースの中間は宇治田原優駿ステーブルで過ごし、坂路で鍛えられたことでも知られている。「ジンガロもそうでしたが、園田の馬場だけでなく、坂路を使っていた。中央も同じですが……」と放牧先での調整のメリットを強調した。
次走は優先出走権を得た11月23日の兵庫ジュニアグランプリJpnⅡを予定している。中間は放牧に出すか、自厩舎での調整かは未定。中央勢も出走し大幅な相手強化となる。新子調教師は「もう少しトモがしっかりしないとダメ。まだ伸びしろはある」と気を引き締めた。
3歳馬によるダービーウイーク同様、各地の主要競走が短期間で楽しめる贅沢感や、先々への期待感を醸成できることが、このシリーズ最大の魅力。また、11月以降のダートグレード競走(11/1・門別競馬場・北海道2歳優駿、11/23・園田競馬場・兵庫ジュニアグランプリ、 12/14・川崎競馬場・全日本2歳優駿)への期待感を高めることも期待されます。
※下の“タブ”をクリックするとご覧になりたいレースの記事に切り替わります。
早め先頭から人気馬をしりぞける
坂路効果で未勝利ながら重賞勝利
今年で9回目を迎えた兵庫若駒賞は、オオエライジンやトーコーヴィーナスなど、後の兵庫の看板馬を輩出してきた出世レース。そんな注目の一戦に、これまでにない新たな歴史が刻まれた。有力視されていた、園田3戦3勝で中央にも挑戦(7着)したブレイヴコールと、園田プリンセスカップの勝ち馬で2戦無敗のナンネッタが体調が整わず回避。出走馬12頭中、半数の6頭が未勝利馬、5頭が1勝馬という少し小粒なメンバー構成となった。
単勝1番人気はスターレーンで断然の1.6倍。道営2勝で転入初戦だった10月6日のJRA認定アッパートライも勝っている実績は今回のメンバーでは抜けた存在で、人気が集中するのも当然と言えた。
2番人気は、アッパートライでスターレーンに2馬身差まで迫ったキューティハーバーで2.9倍。装鞍所に入る前に厩務員を蹴り、右腕を負傷させるアクシデントも。幼い気性面に課題をのぞかせた。この2頭が単勝1桁台で、大きく離れて新子雅司調教師、下原理騎手の“リーディングタッグ”によるナチュラリーが11.3倍。門別のJRA認定競走で3、4着があるエイシンウルルが17.6倍で続いた。
オッズこそ2強だが、有力馬2頭の回避でチャンスありと見ていた陣営も多かったようで、スタート直後から激しい流れ。内にはナチュラリー、キョショウ、負傷した松浦政宏騎手から笹田知宏騎手に乗り替わったコパノアーデンらが先行すると、外から行く構えを見せていたスターレーンは3頭の後ろに控えて4番手。1コーナー手前でキョショウがハナを奪うもコパノアーデンが外にぴったり。ハイペースのまま縦長の展開となった。
3コーナー手前で3番手からナチュラリーが動き、前の2頭を飲み込み早め先頭。スターレーンもスパートを開始し外から猛追。ゴール前は粘るナチュラリーとジワジワ伸びるスターレーンに、内からセカンドインパクトが猛追するも、ナチュラリーがスターレーンをハナ差抑えた。下原騎手は「最後は脚が上がっていたし、勝ったかどうか分からなかった」とホッとした様子で振り返った。
兵庫若駒賞だけでなく兵庫県競馬史上(サラブレッド導入後)初となる未勝利馬の重賞勝ちとなったが、決してフロックではない。他の1勝馬を抑えて3番人気だったことでも分かるように、能力の高さは評価されていた。新子調教師は勝因として、放牧先で乗り込んだ坂路での調教効果を挙げる。
「前走後に3週間ほど、宇治田原優駿ステーブルの坂で、僕自身が乗りに行って感触を確かめた。前走との比較で、すごく良くなっているのが分かっていたし、園田のコース調教ではかけられない負荷もかけることができた」と、2年連続の兵庫リーディングに向け快走中の新子調教師は笑顔を見せた。
新子調教師の代表馬と言えば、2014年のかきつばた記念JpnⅢを勝ったタガノジンガロだが、同馬もやはり、レースの中間は宇治田原優駿ステーブルで過ごし、坂路で鍛えられたことでも知られている。「ジンガロもそうでしたが、園田の馬場だけでなく、坂路を使っていた。中央も同じですが……」と放牧先での調整のメリットを強調した。
次走は優先出走権を得た11月23日の兵庫ジュニアグランプリJpnⅡを予定している。中間は放牧に出すか、自厩舎での調整かは未定。中央勢も出走し大幅な相手強化となる。新子調教師は「もう少しトモがしっかりしないとダメ。まだ伸びしろはある」と気を引き締めた。
下原理騎手
未勝利でしたので、挑戦者の気持ちで臨みました。ゲートはうまく出てくれたし、仕掛けは少し早かったかもしれないけど、ゴール前はギリギリのところ、馬の底力でよく辛抱してくれました。勝ったかどうかは分かりませんでした。中間、坂路で鍛えた効果だったと思います。
新子雅司調教師
デビュー前から能力は高いと思っていたのに、2回も負けてしまい悔しい思いをしていました。でも放牧先で立て直して、体調が戻って、良くなっていたのは分かっていたし、有力馬2頭が回避してチャンスはあると思っていました。栗東よりも傾斜のきつい坂路で乗った効果が出ました。