4度目の対戦で女王に先着
秋の大目標に向け上昇一途

　梅雨どきらしい湿度の高い曇り空のもとで行われたスパーキングレディーカップJpnⅢは、4頭のJRA勢の単勝オッズだけが10倍以下。そのなかで特に注目を集めたのはサンビスタだった。牝馬には厳しいといえる58キロの負担重量だが、それは4月のマリーンカップJpnⅢで克服済み。ファンもその実績を評価したのか、単勝1.4倍という数字にまで押し上げた。
　もう1頭、58キロを背負って臨むのが、芝のＧⅠを3勝しているメイショウマンボ。初ダート、初ナイター、そして初の負担重量は懸念材料には違いないが、それ以上に新天地での一変を期待するファンが多かったようだ。最終的には7.1倍の4番人気となったが、本馬場入場あたりまでは2番人気のトロワボヌール、3番人気のサウンドガガとそれほど差のない数字を示していた。
　そのメイショウマンボがスタートで後手を踏む形となったホームストレッチ。サウンドガガが昨年に続いて逃げを打ち、復活を期すカイカヨソウがついていく。サンビスタとトロワボヌールはその直後を追走し、ピッチシフターは5番手に。1コーナー付近でメイショウマンボが先行グループに取り付くと、その後ろの6頭とは5馬身以上の差がついた。
　3コーナーでも2つに分断されたレース展開は変わらなかったが、カイカヨソウが先行集団から脱落。サウンドガガが連覇を狙ってマイペースで逃げる背後で、サンビスタは対照的に鞍上の手が大きく動いていた。トロワボヌールとピッチシフターはインコースをピッタリと回ってきていた。
　そして最後の直線。鋭く伸びてきたのはトロワボヌールだった。2頭分ほど空いていたサウンドガガの内側から突き抜け1馬身半差をつけて勝利。サンビスタはサウンドガガから3馬身遅れの3着。ピッチシフターはそこから2馬身半差での4着に終わった。
　地方馬最先着となったピッチシフターを管理する川西毅調教師は、「3着は欲しかったですが……」と、納得はしつつも、諦めきれぬというような表情。しかし鞍上の大畑雅章騎手は、「3コーナーでは“おおっ”と思ったんですが。でも、どこかで一発があると思います」と、手ごたえを感じていたようだった。
　一方、サンビスタ鞍上の岩田康誠騎手は、「3コーナーあたりから手応えが怪しくなって」とコメントを残した。そしてメイショウマンボは6着に敗退。「3コーナーまではよかったのですが、最近の競馬と同じで勝負どころから頭を上げて……」と、武幸四郎騎手。条件替わりでの復活とはいかなかった。
　そのメイショウマンボとゴール前で競り合い、ハナ差先着して5着に入ったのが笠松のタッチデュール。「最後は（赤岡修次）騎手のおかげですね。5着と6着では全然違いますよ。また（ダートグレードの出走馬に）選んでもらえる可能性が高くなりますから」と、ともに旅する三谷好厩務員は大満足の様子。
　地方馬にとってはグランダム・ジャパン古馬シーズンの初戦でもあったこのレース。4着のピッチシフターが7ポイント、5着のタッチデュールが5ポイントを獲得した。この入着ポイントが優勝争いの最後に効いてくる可能性は十分にあるだろう。