地元の伏兵が有力遠征馬を翻弄
スタートダッシュを決め逃げ切る

　昨年より1カ月以上時期が繰り下がり、グランダム・ジャパン古馬シーズン第4戦となった読売レディス杯。出走11頭のうち遠征馬が半数以上の6頭で、そのうち4頭がグランダム・ジャパンのポイントを保有しているという、その陣営にとっては期待の大きい一戦となった。
　第3戦の兵庫サマークイーン賞で2着だったケンブリッジナイスが単勝1.5倍の断然人気、トーセンベニザクラが4.6倍で続き、南関東の2頭が人気を集めた。しかし勝ったのは、単勝50倍という地元の伏兵、エトワールドロゼだった。
　そのエトワールドロゼが好ダッシュを決めると、外からエールドランジュもハナを奪おうかという勢いで競りかけてきた。2頭の間のケンブリッジナイスもおそらく譲りたくなかったのだろう、3頭での激しい先行争いで縦長の展開となった。
　3コーナーあたりでも楽な手ごたえのまま逃げていたエトワールドロゼに対して、ケンブリッジナイスは吉原寛人騎手のムチが入って激しく手が動き、エールドランジュはすでに勢いを失くしていた。
　直線でも先頭はエトワールドロゼ。そこに道中離れた最後方を追走していた兵庫のリノワールが外から一気に追い込んだが、エトワールドロゼがクビ差でしのぎ切って勝利。中団よりうしろを追走していたタッチデュールも内から迫って半馬身差で3着に入った。
　結果、エトワールドロゼが逃げ切ったが、上り3ハロンは41秒1。惜しくも2着のリノワールはメンバー中最速の39秒0で上がってきた。激しい先行争いで前はハイペースとなり、ケンブリッジナイスは4着、エールドランジュは最下位に沈み、後方待機から末脚勝負の馬に向いた展開。しかしエトワールドロゼはスタートダッシュが抜群に速かったぶん、ゴール前はバタバタになりながらも粘り切ったというレースだった。
　グランダム・ジャパンは今年で6年目。昨年まで読売レディス杯は一度も地元馬の勝利がなかったが、今年も目下ダントツ金沢リーディングの金田一昌調教師が3頭出しで臨み、地元初勝利を決めた。「この馬は小さい時に自分で見つけて、（馬主の）太田（珠々子）さんに買ってもらったんです」ということもあり、金田調教師はこの勝利が相当に嬉しかったようだ。
　殊勲の田知弘久騎手は今年で12年目。このエトワールドロゼでの昨年の加賀友禅賞が重賞初勝利で、今回が2勝目。今年は過去になかった勢いで勝ち星を伸ばし、これが51勝目。目下金沢リーディングでトップに立っている。今回の勝利はそうした勢いもあったかもしれない。
　グランダム・ジャパンのポイント（表彰対象の地方所属馬のみ）では、他地区4着のポイントを加算したケンブリッジナイスが14ポイントでトップ。11ポイントのピッチシフターが2位で、エトワールドロゼを含めた3頭が10ポイントで続き、引き続き混戦となっている。