好位追走から直線堂々と抜け出す
JBC連覇に向け女王が復活の勝利

　日本海にある爆弾低気圧の影響で、この日の関東地方は午後から荒れ模様。モニターに映し出される映像でも強風でカメラが揺れているのがわかるほど。メインレース近くになって雨風ともに収まってきたとはいえ、レディスプレリュードJpnⅡの本馬場入場でも、時折吹く強い風に驚いている馬もいた。
　注目は、ブリーダーズゴールドカップJpnⅢで一騎打ちを演じた2頭。そこを勝って4連勝中のアムールブリエが1番人気で単勝2.0倍。対するサンビスタも差なく単勝2.5倍で、2頭の馬連複は2.0倍と人気が集中した。
　しかし結果は明暗が分かれた。JBCレディスクラシックJpnⅠ連覇を狙うサンビスタが前哨戦のここで復権ともいうべき堂々の勝利。アムールブリエは4着に敗れた。
　逃げたのは、中央から大井への転厩初戦となった前走、スパーキングサマーカップを制したブルーチッパー。関東オークスJpnⅡ大差圧勝の3歳馬ホワイトフーガが掛かりぎみにぴたりと2番手を追走。トロワボヌールが続き、サンビスタは定位置と思われる好位4番手。一方のアムールブリエは、そこからさらに2頭置いて7番手を追走した。
　ブルーチッパーの行き脚が鈍った3～4コーナーで前4頭が一団となり、しかしアムールブリエは懸命に追っても差を詰められず。
　直線を向いて先頭はホワイトフーガだったが、直線半ばでとらえたサンビスタがそのまま突き放して完勝。課題と言われた右回りを今回はスムーズに回ってきたトロワボヌールが2馬身差で2着。ホワイトフーガはゴール前、一杯になりながらも粘って1馬身差3着。アムールブリエはむしろ差を広げられ、そこから4馬身も差がついての4着だった。
　かしわ記念JpnⅠから3戦続けて勝てなかったサンビスタだが、本来のこの馬の走りが戻ってきた。岩田康誠騎手によると、ブリーダーズゴールドカップJpnⅢでの2着は仕掛けが早すぎたとのこと。今回は直線を向いてからの追い出しで、きっちり借りを返した。
　一方、アムールブリエの濱中俊騎手は、「ペースが上ったときについていけなかった。2000メートル以上のほうが流れが合うので、この距離は忙しかった。馬場状態もあったかも」と首をかしげるばかり。
　さて、JBCレディスクラシックJpnⅠに向けてということでは、勝ったサンビスタが一歩、いや一歩半ほどもリードしたと言えそう。本番と同じコースで勝ったことに加え、別定戦の今回、アムールブリエより1キロ、他の古馬より2キロ余計に背負っていた負担重量が本番では定量となる。
　また残念な出来事もあった。ソーミラキュラスが3コーナーで（左前球節部脱臼）、サイモンガーランドが最後の直線で（左肩跛行）、それぞれ競走を中止していた。
　そしてグランダム・ジャパン古馬シーズンの最終戦でもあったこのレース。ここまでポイント1位のケンブリッジナイス（船橋）、2ポイント差で2位のサンバビーン（北海道）が直接対決で女王を決める一戦ともなった。
　結果、5着に入って5ポイントを加算したサンバビーンが逆転優勝。「グランダム・ジャパンを狙って中央から移籍させた」という田中淳司調教師は満面の笑み。このあとは道営記念に出走し、繁殖入りとなるそうだ。
　8着だったケンブリッジナイスは惜しくも1ポイント差で2位。今回出走はなかったが、読売レディス杯を制した金沢のエトワールドロゼが3位となった。