断然人気馬除外のアクシデント
トライアル2着馬が見事逃げ切る

　南関東競馬もいよいよクラシックシーズンがスタートした。先陣を切って行われたのが、牝馬一冠目の桜花賞。同時に、グランダム・ジャパン3歳シーズンの幕開けでもあったが、今年は他地区からの出走はなく、南関東所属馬だけで実施された。
　前哨戦のユングフラウ賞を完勝したノットオーソリティが、単勝1倍台の人気を集めてどんな勝ち方をするのか注目の的だった。しかし発走直前に、そのノットオーソリティの馬体検査を行うというアナウンスが入り、場内には悲鳴にも似た驚きの声が上がった。結果的には、輪乗り中にラチに接触して馬体に故障を生じたため競走除外（右後肢跛行）。競馬は何が起こるかわからないことを改めて実感させられた。
　一転して、レースは大混戦。矢野貴之騎手の5番人気シャークファングが、前走のユングフラウ賞では2番手からの積極的な競馬が功を奏して2着に入ったが、今回は果敢にハナを奪った。そのままマイペースの走りでクライリングやテイクユアチョイスのプレッシャーをも撥ね除け、最後の直線では後続との差をさらに広げて、見事一冠目を奪取。
　2着は昨年のNARグランプリ2歳最優秀牝馬に輝いたブルーセレブ。ダッシュがつかずに最後方から進めていき、最後はメンバー中最速の上がり（37秒9）で突っ込み、負けてなお強しというところを見せた。3着はテイクユアチョイスで、今年は南関東デビュー組が上位を独占した。
　シャークファングにとってはうれしい重賞初制覇だったが、騎乗した矢野騎手にとっても南関東では初重賞タイトル。管理する秋吉和美調教師も初めての重賞勝ちとなった。
　矢野騎手は2002年4月に高崎競馬場でデビューし、北関東菊花賞トライアルの重賞・奥利根賞をエフケーアニカで制するなど順調な騎手生活を送っていたが、デビューしてわずか2年9か月後の2004年末に高崎競馬場が廃止になると、大井競馬場へ移籍。当初は勝ち星が伸びずに思い悩む時期もあったそうだが、ここ数年の活躍は目覚ましい。勝ち星とともにリーディング順位も上昇していて、大井の中でも勢いのある騎手のひとりとして名前が挙げられる。
　「去年くらいから重賞は勝ちたいと思っていたのでまずはホッとしました。今は楽しいというよりも身の引き締まる思いで、重賞はもちろんC3クラスも、目の前のレースは全部勝ちたいです！」（矢野騎手）
　シャークファングは持ち前のスピードを生かし、先行して押し切るのが得意なスタイルだ。それでも最後はまだ遊びながら走っていたそうで、着差以上の強さだったのかもしれない。この後は状態を見て東京プリンセス賞に向かう予定だ。
　鮫島明洋オーナーの所有馬で、その名前の通り、サメの顔をイラストにしたメンコを着用している。そんな愛らしい姿にファンの注目度も急上昇中。今後の南関東牝馬クラシック戦線も盛り上げてほしい。

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