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第78回 2015年1月20日 セレン

撮影:木村忠之氏
Profile
 南関東生え抜き馬として大活躍したセレン(船橋・佐藤賢二厩舎)が種牡馬入りをしました!!!

 現役時代は、京成盃グランドマイラーズを皮切りに、勝島王冠、大井記念、東京記念と4つのタイトルを取り、ダートグレードレースでも活躍。しかし、その栄光の裏には波乱万丈な馬生がありました。

 母馬が育児を好まないタイプだったのでとねっこ時代は乳母に育てられ、現役時代は順調さに欠き競走生活を危ぶまれた時期も数回あったそうです。

 セレンの山口圭子オーナーは南関東史上初の3冠牝馬チャームアスリープを所有していることでも知られています。デビュー当初のセレンは小柄で周りからの評価は高くなかったそうですが、山口オーナーはバランスの良さを気に入って、非常に期待をしていた馬でした。「チャームはありがたいことにあっという間に三冠を取らせて頂きましたが、セレンは走るまでの苦労がたくさんあった馬なので、あそこまで走ってくれたのは本当にうれしかったし特別な思いでした」(山口オーナー)。

 そんなセレンが種牡馬入りした経緯を伺ってみると、「セレンは現役時代から馬っけがありました。種付けができないのはかわいそうかなぁって、最初は親心だったんです(笑)。うちにはチャームもいるし、血統的にもかけられます。2頭とも村田牧場さんと佐藤賢二先生が手掛けられた馬ですし、みんなの夢として面白いんじゃないかなぁと」(山口オーナー)。

 現在のセレンは北海道のNo.9ホーストレーニングメソドの様似にある分場にいて、種牡馬になるための体作りをしているところだそうです。「だんだん種牡馬らしい体つきになってきましたよ。きかん坊で元気はいいですね」と代表の木村忠之さん。種付けの時にイーストスタッド(浦河)へ出張する予定で、この記事がアップされる頃には試験種付けを行っているそう。花嫁さんは随時募集中です!!!

 「セレンとチャームの仔が無事に生まれてきてくれるだけでも泣けちゃうのに、競走馬になることができたらもっと大変ですね(苦笑)。セレンには1頭でも2頭でも多くの子供が生まれて欲しいです」(山口オーナー)。

 南関東ファンにたくさんの夢を与えてくれたセレンとチャームアスリープ。2頭のDNAを受け継いだ産駒が来年無事に誕生し、そのまま順調に育ってデビューをした際には、父母と同じ船橋の佐藤厩舎に入厩予定だそうです。現役引退後もそろって夢を見せ続けてくれる、なんて素敵なお話しなんでしょうか!!!山口オーナーにお話しを伺いながら、心の奥底から温かい気持ちにさせて頂きました。

初めて重賞を取った京成盃グランドマイラーズ時
(撮影:高橋華代子)



高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など