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兵庫ゴールドトロフィー~佐々木竹見カップ・ジョッキーズグランプリ(第75回)

兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢ

 メイショウコロンボは、スタート後すんなり先頭に立って楽に逃げることができました。3コーナーでジョーメテオに並びかけられましたが、交わさせなかったのはテンに楽をしていたぶんでしょう。並ばれたあと、もうひと伸びして、ゴール前で突き放す余裕がありました。
 ジョーメテオはかなり後方からの追走でしたが、向正面の中間から一気に動いていきました。少しタイミングが早いかと思いましたが、そこは地元の田中学騎手だけにペースを読んでいたのでしょう。3コーナーあたりで、逃げていたメイショウコロンボに並びかけたときは勝てるかという勢いでした。あそこで一気に交わしきれるようであればおそらく勝っていましたが、相手も余力がありました。1番枠でしたから、一旦下げて、外に持ち出してというのは、最初から作戦として考えていたと思います。もし外枠からの発走で、もう少し楽に好位がとれれば、また結果は違っていたかもしれません。また、先行争いが激しくなれば、チャンスはあったかもしれませんが、それは仕方ありません。それでも中央を相手によく走ったと思います。
 高知のサクラシャイニーは、前の2頭には離されましたが3着でした。さすがに赤岡騎手はいろいろな競馬場での騎乗経験があり、園田でも何度も乗っていますから、ペースがよくわかっています。

東京大賞典GⅠ

 ホッコータルマエはスタートダッシュがいいです。それでもコパノリッキーが行く気を見せたので、無理せず2番手からの追走でした。最後はコパノリッキーと競り合いになりましたが、4馬身差をつけました。すんなり好位を追走して、最後は余裕があっての強い競馬でした。それにしてもホッコータルマエは、サラブレッドの理想の馬体をしています。
 コパノリッキーは、ゲートの出が相変わらずよくないですね。ダッシュもあまりつかず、ハナを取り切ったのは、1周目のゴール100メートル手前のあたりでした。仕上げがまだ万全ではなかったところもあったのかもしれません。これで調子が上がってくれば、フェブラリーステークスは今回よりいい走りをするのではないでしょうか。
 サミットストーンは、人気2頭をすぐ前に見る位置から追走していきました。ペースが上がったところで真っ向勝負にはいかず、それでも自分の持てる力は発揮したと思います。3着でしたが、石崎駿騎手はうまく乗ったと思います。
 ハッピースプリントは、今回は中団からの追走でしたが、最後は4着まで来ました。たまには今回のようにうしろからというレースもしてもいいと思います。古馬との対戦はまだ経験が少ないですから、今回のようなレースをしていれば、いずれ力をつけてくると思います。なんとなく体型的にボコッとしているので、暖かくなって、もう少し体が絞れてきたらいいかもしれません。

川崎記念JpnⅠ

 ホッコータルマエは、スタートはよかったのですが、そのあとの行きっぷりがいつもと違ってもたついていたような感じでした。最初の3コーナーでは内外から挟まれるような形になって位置取りを下げました。それでもスタンド前で外に持ち出せたのはよかったと思います。3コーナーから仕掛けていくと、4コーナー手前で、あとは先頭のサミットストーンをとらえるだけという力の違いを見せました。直線を向いてカゼノコが迫ってきましたが、最後は手応えに余裕があって、結局幸騎手はステッキを一度も入れませんでした。仮にうしろから来ても、気合を入れればおそらくさらに伸びたでしょう。それくらい余裕がありました。
 カゼノコは今回も後方からになりましたが、ペースが落ち着いたところで、ホッコータルマエのすぐうしろにつけました。4コーナーから直線を向くところでもぴたりと直後につけて、その勢いからはホッコータルマエを交わせるかとも思えましたが、相手もさらに伸びていました。2着でしたが終いのいい馬だけに、これからが楽しみです。
 サミットストーンは逃げるつもりで先頭に立ったと思いますが、外からランフォルセに一気に来られてハナを譲って2番手からになりました。ただそれでもすぐにペースが落ち着いて、折り合いもついていたので、むしろ行ってくれる馬がいて楽に競馬ができたと思います。向正面の中間でみずから早めに仕掛けて行ったのは、ホッコータルマエが来る前のタイミングで、ということはあったかもしれません。それでも3着はよく走っています。
 ハッピースプリントは、スタートダッシュはよかったですが、今回も控えて5番手の内を追走しました。勝負どころの3コーナーでちょっともたもたするところがあって、外から被されて位置取りを下げてしまいました。この馬は内にはこだわらず、外に出して競馬をしたほうがいいかもしれません。特に川崎はコーナーがきついですから、そこで位置取りを下げることになってしまいます。それでも直線はよく4着まで盛り返したと思います。

佐々木竹見カップ・ジョッキーズグランプリ

 第1戦(マイスターチャレンジ)は、断然人気馬に乗っていた山崎騎手が、好位から直線で抜け出すという正攻法で勝ちました。とはいえ、御神本騎手は7番人気でもその山崎騎手をマークするような位置で、うまく乗っての2着でした。
 あと上手に乗ったと思ったのは、5着でしたが永森騎手です。後方追走から内々を回ってきて、4コーナーから直線でも最内を突いてのびてきました。
 第2戦(ヴィクトリーチャレンジ)は、山口騎手が3、4番手の内の絶好位につけました。同じような位置の外を追走していたのが御神本騎手です。直線を向いて、その御神本騎手が先頭に立ったときには勝ったかと思いましたが、ラチ沿いを回ってきて、4コーナーから直線で前が完全に開いた山口騎手がそのままラチ沿いから差し切りました。前が開くかどうかという運もありますが、川崎コースで内から抜けてこられるとかなり有利です。ただ御神本騎手はここでも8番人気馬を2着に持ってきましたから立派です。



佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。