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2015年1月28日(水) 川崎競馬場 2100m

ダート王者の貫禄で連覇達成
地方の期待馬も健闘を見せる

 昨年は悲願だったJRAのGⅠ、チャンピオンズカップ優勝をはじめ、川崎記念JpnⅠと東京大賞典GⅠを制したホッコータルマエ。これにより、JRA賞・最優秀ダートホースとNARグランプリ・ダートグレード競走特別賞を受賞した。そのホッコータルマエの今年初戦となったのが、昨年と同じ川崎記念JpnⅠ。昨年は単勝1.1倍だったが、今年はなんと1.0倍とさらに人気を集め、「負けられない気持ちでしたが本当に強かったです」とコンビを組む幸英明騎手も胸をなで下ろしていた。
 レースは、サミットストーンがハナを主張していくように思われたが、1周目のスタンド前を通過していくあたりではランフォルセが先頭に替わり、2番手にサミットストーン、ホッコータルマエは中団の前から追走していく形になった。「ハナに行こうと思えば行けたんですが、どうしようかなと考えてあのポジションになりました。最初はごちゃついて馬も怒っていましたが、いつもとはちょっと違う競馬になっても手応えはずっとよかったので、3コーナーでは行けると思いました」(幸騎手)。
 その3コーナーでは、ランフォルセが後退してサミットストーンが先頭に変わると、ホッコータルマエもスーッと並びかけていった。ホッコータルマエが直線を向いて先頭に立つと、そのまま楽な手応えでフィニッシュ。3/4馬身差で2着には後方から徐々に進出してきたカゼノコ、3着にはサミットストーンが入った。
 昨年の川崎記念JpnⅠ同様に着差以上の強さを見せたホッコータルマエは、まさに王者の貫録を見せたと言えるだろう。「今年もいいスタートを切れたのでタルマエと一緒にダート界を盛り上げていきたいです」(幸騎手)。この春は最大目標でもあるドバイワールドカップに再挑戦する予定だが、フェブラリーステークスGⅠを挟むかどうかは状態と相談して決めるそうだ。なお、ホッコータルマエはGⅠ/JpnⅠを8勝目とし、ヴァーミリアン、エスポワールシチーが持つ国内ダートGⅠ/JpnⅠ最多勝記録の9勝にあと1つと迫った。
 一方、地方勢の健闘も光った。東京大賞典JpnⅠに続いて、サミットストーンが3着、ハッピースプリントが4着と掲示板を確保。
 サミットストーンは隊列が決まりかけたところで先頭から2番手に控える競馬を余儀なくされたが、それでもリズムを崩すことなく持ち前の長くいい脚を発揮した。「今日は行けたら行こうと思っていて、ハナで進めた方が競馬はしやすかったですね。勝つためには全部がうまくいかないと……惜しかったです」と悔しそうだった石崎駿騎手。昨年は浦和記念JpnⅡを優勝し、東京大賞典GIでも地方最先着の3着に入り、NARグランプリの年度代表馬に輝いた。この後はダイオライト記念JpnⅡを予定しているそうで、今年もこの路線の中心的存在になっていくだろう。
 ハッピースプリントは勝負どころで前が壁になり、動きたい時に動けない致命的な不利がありながらも最後は4着に追い込んできた。結果としては残念だったが、陣営としてはかなり手応えをつかんだようだ。一線級と戦うにはマイル前後くらいに適性があると見られており、この後はオーナーと相談してフェブラリーステークスGⅠに挑戦するプランもあるという。
 アジュディミツオーやフリオーソが引退して以降、ダートグレード戦線は中央勢優位が続いていたが、ようやく地方勢の活躍も目立つようになってきた。今年も地方馬たちの元気な姿をたくさん見せて欲しい。
幸英明騎手
直線を向いたときもすごく手応えがあったので、うしろから来る馬には負けないと思いました。負けられないレースが続くと思うので、ひとつでも多くジーワンを勝ちたいです。(ドバイワールドカップについて)去年も期待をしていましたが結果は出せなかったので、今年はそれ以上に楽しみにして臨みたいです。
西浦勝一調教師
最後、あのような形になったら絶対に負けないですね。JBCを使ってから馬自体がすごく変わりました。走ることを楽しむようになったので、それが今の強さにつながっていると思います。ドバイワールドカップは最大目標なので絶対に行きたいです。ドバイでもまたこういう写真を撮れたらいいですね。



取材・文:高橋華代子
写真:岡田友貴(いちかんぽ)、NAR