2015年1月27日(火) 川崎競馬場
マイスターチャレンジ

ヴィクトリーチャレンジ

第1戦 マイスターチャレンジ

第2戦 ヴィクトリーチャレンジ

人気馬を確実に上位に導く
地元山崎騎手が2度目の優勝

 「年に一度、全国の一流ジョッキーと会えるのが楽しみなんです」と、嬉しそうに語ったのはゲストの原良馬さん。佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ当日には、佐々木竹見元騎手と、競馬解説者の原良馬さんのトークショーが毎年行われている。この競馬界のレジェンド2人の話を楽しみにしているファンも多いことだろう。佐々木竹見氏の今年の注目騎手は、初出場の永森大智騎手(高知)。「(昨年)195勝というのは凄いこと。毎年来てもらいたいですね」と期待は大きいようだ。一方、「これまで2位が4回ですもんね。優勝してもらいたい」と原良馬さんは、今年で10回目というメンバー中最多出場の岡部誠騎手(愛知)の名前を挙げた。
 またJRAからは、岩田康誠騎手と戸崎圭太騎手が選出された。元地方競馬所属騎手が2名参戦するのはシリーズ史上初めてのこと。「経験豊富な地方競馬のトップジョッキーは、やはりレベルが高いということ」などという話もあちこちで聞かれ、地方競馬時代の勝負服を纏う2人にも大きな声援が送られていた。
 普段と違う競馬場や対戦騎手、ポイント獲得への思惑もあってか、人気通りにはなかなか収まらないのがこのシリーズ。しかし、第1戦のマイスターチャレンジはプレッシャーをはねのけた山崎誠士騎手(川崎)が1番人気に応えてみせた。
 1枠を利して内田利雄騎手(浦和)とミッキールドラが先手を取り、2番人気の左海誠二騎手(船橋)とタツノオトシゴが3番手、山崎騎手とダークダイナミックはその直後の外目好位につけた。直線入口で先頭に立ったのは左海騎手で、外から伸びてきたのが山崎騎手と、御神本訓史騎手(大井)のフクジュソウ。最後は山崎騎手が力強く抜け出し1着の50ポイントを手にした。3/4馬身及ばなかったが、7番人気で好走した御神本騎手が2着。直線で大外から末脚を伸ばした田中学騎手(兵庫)とジーガークリスタルが3着に食い込んだ。
 「緊張した~! 嬉しいというよりも、安心しましたよ」とホッとした様子の山崎騎手。次の騎乗馬も人気を集めている実力馬なだけに、「優勝に向けて意気込みは?」と話しかけると、「なるべく上位に来れるようがんばります」と控えめの言葉。聞くと「こういうポイント制のレースは、勝ちに行くと、逆に結果が出ないことが多いんです。確実にしっかりと乗らないと」と、思わず納得させられるコメントが返ってきた。
 第2戦のヴィクトリーチャレンジは、毎年見応えのあるレースが繰り広げられる2100メートル戦。しかし、この日の川崎競馬場は不良馬場。いわゆる前残りのレースが続いていて、後方からの馬にとっては厳しいコンディションだったようだ。
 団子状態になりやすい2100メートル戦の割には、田中騎手のキャバーンを先頭に少し縦長の展開で進んだ。先行集団が向正面半ばを過ぎたあたりで、後方に待機していた1番人気の岡部騎手とシゲルエチゴなどが動きだしたが、前は止まる気配なし。3番手を追走していた御神本騎手とユーコーフラッシュが楽な手ごたえで4コーナーをまわり、直線で先頭に立った。そこに最内を突いて伸びてきたのが、好位で虎視眈眈と狙っていた山口勲騎手(佐賀)とトーセンサミット。直線半ばで御神本騎手を交わし1馬身半差でゴールイン。2着に御神本騎手が続き、3着には中団から徐々に進出してきた山崎騎手とトーセンハリケーンが入った。
 総合順位の上位2名は明らかで、「御神本騎手に勝たれなければ優勝だと分かっていましたが、直線は焦りましたね(笑)」と山崎騎手。1着、3着で83ポイントを獲得し優勝に輝いた。「1着が欲しかった!」と残念そうだった御神本騎手が、2着、2着の76ポイントで2位。3位は、13着、1着で53ポイントの山口騎手という結果となった。
 2013年に続き、2度目の総合優勝を手にした山崎騎手。表彰式の後、「佐々木竹見カップを地元騎手が勝つことは誇りですね」と力強く語った。昨年は、川崎リーディングを明け渡したうえ、毎年増えていた年間勝利数が初めて前年を下回り、悔しい思いをしたという。「2015年は、一からコツコツと勝利を積み重ね、川崎リーディングを奪還したい」という真っ直ぐな表情は2年前より精悍に見えた。佐々木竹見氏から引き継がれ、これからの川崎競馬を背負って立つ存在の山崎騎手。1年後、さらに成長した姿をこの舞台で見られることを期待したい。



取材・文:秋田奈津子
写真:宮原政典(いちかんぽ)、NAR

総合優勝
山崎誠士騎手
(川崎)
1戦目は外を周ってしまいましたが地力のある馬だったので勝てました。人気に応えられて良かったです。2戦目はポイントを意識したのもありますが、2100メートルなので馬に負担がかからない走りやすいところを走らせるよう気を付けました。今回は抽選から運が向いていましたし、優勝は素直に嬉しいです。
総合2位
御神本訓史騎手
(大井)
今回はくじ運があまり良くなくて2頭とも人気がなかったのですが、馬ががんばってくれました。1戦目はいい位置でレースができて手ごたえも良かったし、うまく抜けられましたね。2戦目は2100メートルだし馬場も考えて好位につけました。末脚は甘くなってしまいましたがなんとか粘ってくれました。
総合3位
山口勲騎手騎手
(佐賀)
今回が9回目の出場になりますが、初めて表彰台に乗れて嬉しいです。1戦目は競馬に参加できなかったので、2戦目はなんとか勝ちたいと思っていました。いい位置で競馬ができて、直線では手応えは残っていたんですが少し遊びながら走っていました。でも馬の力が抜けていたので勝てましたね。