ギリギリでしのいだゴール前 実績馬が復活をアピール

　9月25日の朝、残念な報せが飛び込んできた。
　「エレーヌが死亡」
　グランダム・ジャパン3歳シーズンを制し、古馬シーズンでも第5戦（門別・ノースクイーンカップ）を終了した段階で得点はトップ。来年以降の活躍も十分に期待できる存在だっただけに、それは心に大きな穴が開く報せだった。
　本当ならばエレーヌが登場していたはずの秋桜賞だが、その名前がないとなればエレーヌを読売レディス杯で負かした兵庫のキーポケットが注目の的になる。ファンもそこは心得たもので、締め切り数分前にオッズ画面に映された数字は「1.1」。最終的には1.3倍となったが、それでも断然人気であることは変わりがなかった。
　しかしながら続いての人気は、7倍台で3頭が競り合う形。2番人気に支持されたのは、読売レディス杯でキーポケットとの接戦を演じた地元名古屋のシルバーウインド。3番人気の笠松・トウホクビジンは、北海道遠征から中7日でも体重が7kg増えており、元気一杯にパドックを周回していた。さらに昇り竜の勢いがある笠松・ボニータシチーが小差で続き、キーポケットが中心とはいえども伏兵陣にもチャンスありというような人気の分布になっていた。
　その上位拮抗の単勝オッズは、レース後半の激しさに現れた。ゲートが開いてからボニータシチーとダイナマイトボディが先手を争ったものの、すぐに隊列は落ち着いて正面スタンド前ではスローペースに。ちょうど馬場を1周した向正面あたりから流れは変化をみせていった。
　まずシルバーウインドが読売レディス杯と同じように、先手を打って仕掛ける作戦。続いてキーポケットとエンタノメガミの兵庫勢が動いていくが、虚を突かれたのかなかなか反撃という勢いが出てこない。直線入口ではコーナーワークも手伝って、シルバーウインドが2馬身ほどリード。それでもエンジンがかかったエンタノメガミが一完歩ごとに差を詰めて、ゴール前ではシルバーウインドを完全に捕らえる態勢に。しかしそこにキーポケットが一気に襲いかかってきた。