全国の競馬場の距離1000メートル以下のレースのみで構成されるスーパースプリントシリーズ。その最終戦が、船橋の習志野きらっとスプリントで、今年から南関東格付けS1に格上げされた。
昨年の覇者でテレ玉杯オーバルスプリントJpnⅢを連覇しているノブワイルドを筆頭に、東京スプリントJpnⅢ・3着のキャンドルグラス。本シリーズの勝ち馬からは、川崎スパーキングスプリントのポッドギルや、グランシャリオ門別スプリントのアザワクなど、今年も全国からスピード自慢たちが集結。
メンバー中唯一のダートグレードウイナーだったノブワイルドが、格の違いを見せつける圧巻の勝利を飾った。「素晴らしい地力で、さすがとしか言いようがありません。馬を称えるしかないです」と、相棒の頑張りを労っていた鞍上の左海誠二騎手。
ノブワイルドは7枠12番から抜群のスタートを切り、左海騎手は何が何でもという勢いで激しく手を動かしながら先頭に立とうとしたところ、3枠4番から斤量52キロのアザワクもスーッと並びかけ、どちらも主張していき、3コーナー手前では早くも縦長の展開。
「先生の指示からも、とにかく行くつもりでした。内枠だったらもっと楽に行けたと思うのですが、ちょっと外過ぎました。スプリントの馬たちはみんなが速いので、ちょっと強引な乗り方をしてしまいましたが、何とか最後まで頑張ってくれました」(左海騎手)
3~4コーナー中間ではノブワイルドが力強く単独先頭に立ち、4コーナーに入ると後続を突き放した。「ずっと追いっぱなしだったので、大丈夫かな?残れるかな?と思いながら乗っていましたが、最後まで踏ん張ってくれましたね」
ノブワイルドの勝ちタイムは58秒5(稍重)。2着キャンドルグラスは、中団からメンバー中2番目に速い35秒1の上りで半馬身差まで迫った。中団うしろから34秒9の最速の上りで突っ込んできたフランシスコダイゴが3着。
昨年のノブワイルドはこの習志野きらっとスプリント優勝後、中7日で地元のプラチナカップを勝ち、その後はオーバルスプリントJpnⅢを制して重賞3連勝。それ以降も強い相手と戦ってきたとはいえ、勝ち星からは遠ざかっていた。
疲れが抜け切れていないと小久保智調教師は判断し、今年も同じローテーションの選択肢はあったのだが、あえて前哨戦の川崎スパーキングスプリントは使わず、ここまで待って本来の走りができる姿に戻したことも、功を奏した形だ。今後は再び中央馬たちが相手となるが、悔いのない走りを続けて欲しいと思う。
なお、2年前の覇者で約11カ月ぶりの実戦となったアピアは、向正面で競走中止。右後肢跛行とのことで、渡邉和雄厩舎の外厩ミッドウェイファームへ帰ったという。大事に至らないことを願うが、今年9歳だけに今後の動向も気になる。
Comment
左海誠二 騎手
返し馬から状態はすごくよく感じたので、あとはスタートに気をつけて、馬の力を信じて乗るだけだと思っていました。連覇がかかっていて何とかしたかったので勝つことができてよかったです。(TUBEの前田オーナー所有馬ですが)馬も夏に強いですし、8歳でも若いのでこれからも活躍できると思います。
小久保智 調教師
短距離戦でみんなが行きたいのは当然のことなので、あのような展開になるのは仕方ないです。いつものようにコーナーからはどんどんエンジンがかかってきたので、やれるかなとは思いました。オーナーさんは今年いっぱいかなと話していて、最終目標はJBCスプリントとゴールドカップになりそうです。