スーパースプリントシリーズ2020第2戦の川崎スパーキングスプリント。ファイナルの習志野きらっとスプリントに向け、南関東地区のスピード自慢たちが勢ぞろい。川崎競馬場900メートルで熱戦を展開した。
人気は割れて、半年ぶりの実戦となったロードグレイスが単勝4.1倍の1番人気に推されていたが、10倍以下のオッズには6頭がひしめき合う大混戦ムード。その流れを断ち切って先頭でゴールに飛び込んだのは、南関東にゆかり深い父フリオーソ、母カネショウメロンという血統のポッドギル(8番人気)。
ポッドギルは、昨年3歳時にユングフラウ賞を制しているが、それ以降は勝ち星から遠ざかっていただけに、「惜しい競馬が続いて何とか3勝目を挙げさせたいと思っていたのでホッとしました。このレースを狙ってここまで待って使ったので、結果を出すことができてよかったです」と、いつも付きっきりで調教にも乗っている鈴木啓之調教師は胸をなで下ろしていた。
レースは、ダンディーヴォーグが先頭に立つと、初めて今野忠成騎手にエスコートされたポッドギルは2番手。クイーンズテソーロやドリームメダリスト、ストロングハート、ロードグレイスなど人気上位馬たちも好位から中団前につけていく展開。
ポッドギルは最後の直線に入って力強く先頭に立つと、そのまま後続の追撃を振り切り、2着のクイーンズテソーロに2馬身差をつける完勝。勝ちタイム52秒9(良)は、ここ5年で最速だった。
今野騎手は2007年のジャパンダートダービーJpnⅠではポッドギルの父フリオーソとコンビを組み優勝している。「走り方というか、このクラスでもあれだけ行ける先行力のすごさは似ているんじゃないですかね」とニッコリ。
そもそもポッドギルが持っているユングフラウ賞のタイトルは1400メートル戦だが、距離は伸ばせそうで伸びなかったり、積極的に行って差されるなどしていた。それで1月29日の川崎900メートル戦に初挑戦したところ、惜しくも2着に敗れたが内容はよかったため、路線を切り替えたという。それが見事にハマった。
「ユングフラウ賞の頃に比べると馬体重は大きく変わりませんが、腰回りに幅が出たことでパワーアップはしてくれていると思います。今度は初めての船橋競馬場で、一線級の牡馬も集まるでしょうし、胸を借りるつもりですが、もうひとつタイトルを取らせてあげたいです」(鈴木調教師)
習志野きらっとスプリントが行われる船橋競馬場は、ポッドギルの父フリオーソの故郷とも言える場所。全国各地で活躍しているフリオーソ産駒は中・長距離での活躍が目立つが、超短距離での活躍は非常に興味深い。
Comment
今野忠成 騎手
レースは見ていたのでセンスのいい馬だろうなというイメージはしていましたが、乗ったらずいぶんおとなしくて乗りやすい馬でした。僕が邪魔しない限りスタートは出るなと思っていたので、あとはあまりゴチャゴチャするレースはしたくなかったのでイメージ通り乗ることができました。
鈴木啓之 調教師
最近は追い切りでは動かなくてレース前の段階では不安が残りますが、実戦に行くと全然違うので、馬がわかっているんですね。調教では一瞬の動きがとても速くて、それも競馬でいい方に出ているのかもしれません。調教ではアポロピンクにやっていたように落ち着かせながら乗るようにしています。