この日の名古屋競馬場は、まさに“秋晴れ”という空模様。砂も乾いて時計がかかるレースが多く、逃げ馬の失速が多く見られた。そのためか、第5レース以降はほとんどが3連単の配当が1万円以上。秋桜賞もその流れを引き継ぐ結果になった。
グランダム・ジャパン古馬シーズンはこのレースを含め残り2戦。ここまで、大井のクレイジーアクセルが30ポイントで暫定トップに立っている。秋桜賞に出走するステップオブダンス(大井)は19ポイントで、ジェッシージェニー(大井)が15ポイント。10ポイントのエイシンエール(兵庫)、9ポイントのスプリングガール(高知)も逆転優勝への望みがある。
しかしながら今年の秋桜賞は、ともに2走前に牡馬混合重賞を制しているタガノカピート(兵庫)と地元のポルタディソーニが参戦し、JRAオープンから愛知に移籍してきたエイシンセラードも出走するという、混戦必至のメンバー構成。単勝オッズは締め切り直前まで変動が激しく、最終的にはエイシンセラードが3.1倍で1番人気。タガノカピートは3.8倍、ポルタディソーニは4.2倍と接近して、大井からの2頭も10倍未満と支持を集めた。
その上位人気の3頭は、逃げ先行で結果を残してきた馬。ゲートが開くとポルタディソーニが先手を取り、タガノカピートが直後でマーク。エイシンセラードは行き脚がつかなかったが、3番手にステップオブダンスがつける流れは、見た目にも速いという印象があった。
向正面でもその位置取りは変わらなかったが、3コーナー手前からエイシンセラードが先頭を目指して進出してきた。タガノカピートは脱落し、逃げたポルタディソーニも徐々に失速。代わってステップオブダンスが先頭に立って最後の直線を迎えた。
しかし前半の600メートルが36秒0というペースは、やはり速かったのだろう。その流れを味方に上昇したのは、スタートで後手を踏んだジェッシージェニーだった。4コーナーでは先頭までの差が5馬身ほどあったが、徐々に差を詰めてゴール手前で逆転。読売レディス杯に続く勝利をおさめ、グランダム・ジャパンのポイントでトップのクレイジーアクセルに並んだ。
その展開は最後方に近い位置からレースを進めたメモリーフェーブルにも波及。「まさか2着とは。ハマりましたね」と友森翔太郎騎手が笑顔のまま首を傾げるほどだった。
一方、逃げ込みを図ったステップオブダンスはハナ差で3着。「3コーナーでエイシンセラードに並ばれたのが堪えたにしても、最後はやっぱり止まってしまうんですよ。どこの競馬場でも」と吉原寛人騎手。この結果でステップオブダンスのポイントは26になり、トップとの差は4。逆転優勝を決めるためには、最終戦で最低でもジェッシージェニーとクレイジーアクセルに先着する必要がある。
その最終戦・レディスプレリュードJpnⅡまでの間隔は13日。ジェッシージェニーを管理する福永敏調教師は「間隔が短いですし、距離も不安」と話したが、オーナーサイドは出走へ意欲満々。対するクレイジーアクセルとステップオブダンスは、吉原騎手の手綱ですべてのポイントを獲得している。優勝の行方は、その動向もカギになりそうだ。
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藤田凌 騎手
レース前はいろいろなパターンを考えていましたが、スタートでまた後手を踏むかたち。それでも少しずつ差を詰めようと切り替えていきました。4コーナーでは届くかどうか不安でしたが、間に合ってくれてよかったです。ここまで来たなら、ジェッシージェニーをグランダムのチャンピオンにしてあげたいです。
福永敏 調教師
環境が変わると体重が減るタイプという点を考えて、今回は当日輸送にしたのが正解でした。前走は展開がはまりましたが、今回は同じようにはいかないだろうと考えていたのですが、結局は後ろからの競馬になってしまいました。でも事前に藤田騎手と打ち合わせをしていた通り、うまく乗ってくれました。