一昨年に創設され、昨年からグランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズンに参入した佐賀ヴィーナスカップ。昨年の覇者ディアマルコ(高知)は、その後は園田、名古屋で勝利を重ね、シーズン総合優勝を達成。今年もこのレースに登録があったものの、早々と回避してしまった。しかし、大井からは2017年のGDJ3歳シーズン総合優勝のステップオブダンス、昨年の読売レディス杯(金沢)を勝ったエースウィズなど、これまでのGDJ各シリーズでの実績がある馬を含む4頭。兵庫からは地方転入2戦目の六甲盃(園田)で牡馬を相手に3着のエイシンミノアカと、強力なメンバーが参戦してきた。
佐賀には古馬牝馬の限定戦がこのレースしかなく、A級には牝馬の数自体がごくわずかで、A級特別(旧S2重賞、準重賞)や古馬重賞では17年10月を最後に牝馬の勝ち馬が出ていない。一方、B級以下では牝馬も互角に戦えており、佐賀転入後10連勝中のハッピーハッピー、昨年のル・プランタン賞勝ち馬のマイメンと、B級で力をつけてきた馬が他地区馬に伍して上位人気に食い込んでいた。
出ムチを入れて先頭に立ったペニテンテス(大井)をハッピーハッピーが追走。エースウィズとステップオブダンスがその直後につけたが、2コーナーでハッピーハッピーがペニテンテスに馬体を併せにいき、向正面で先頭を奪取。直線で抜け出して押し切りを図るも、外からステップオブダンスが迫って、2頭の馬体が並んだところがゴール。首の上げ下げでハッピーハッピーがハナ差先着していた。しかし、直線の攻防でハッピーハッピーが外にヨレ、ステップオブダンスの進路に影響を与えたため審議となり、長い時間がかかったものの到達順位通りでの確定となった。
2頭の争いには3/4馬身及ばなかったがエースウィズが3着。そこからやや離れてエイシンミノアカ、アクアレジーナ(大井)と入り、佐賀勢がこのレース初勝利を挙げた一方、2着から5着までは他地区馬が占める結果となった。
ハッピーハッピーはJRAで4戦未勝利の後、昨年9月に佐賀へ転入。以降負けなしの10連勝中だったがB級特別までの経験しかなかった。オープン初挑戦が地方全国交流重賞と一気に相手が強くなったが、単勝1番人気に応えての重賞初制覇。また、管理する矢野久美調教師は、中津の廃止に伴い佐賀へ移籍し、佐賀での重賞(旧S2重賞除く)は初勝利だった。
ハッピーハッピーの今後は未定だが、矢野調教師は「日本全国飛び回っていきたい」と、GDJ古馬シーズンへの出走に前向きな様子。佐賀からは高知優駿(6月16日)に九州ダービー栄城賞を勝ったスーパージンガ、帝王賞JpnⅠ(6月26日)に佐賀スプリングカップを勝ったグレイトパールが選出されている。また1頭、全国の舞台へ期待馬が羽ばたいていきそうだ。
Comment
鮫島克也 騎手
自分のペースで行けましたが、これまで一杯に追ったことがなかったので、ステッキを入れたら外へ行ってしまい迷惑をかけてしまいました。どのレベルまで行けるかはわかりませんが、佐賀ならオープンでも十分通用すると思います。
矢野久美 調教師
馬の能力を引き出してくれる鮫島騎手の技術に感謝しています。自分でレースを作るので、2番手や3番手でもいいですし、今日初めて追われて、馬もまた変わっていくんじゃないかと思います。今後は馬と相談ですが、日本全国飛び回っていきたいです。