未来優駿第2弾・若駒賞の創設は1981年。当初は特別競走として実施されていたが、2000年に重賞へ昇格(その後、07年のみ特別競走)。現在ではレース体系も整い岩手2歳三冠の一冠目に位置づけられている。
ニューホープが制した昨年のレース当日は、10月にしては冷え込みが厳しかった。今年は台風の影響で、当日の朝まで開催も危ぶまれる状況ではあったが、大きな影響もなく開催にこぎつけた。台風一過の言葉どおり、第1レースのころには晴天となり、競馬場から見える岩手山も珍しくクッキリとした光景で、過ごしやすい競馬日和に。
今年は7頭立てとなったが、地元デビュー組は2頭でホッカイドウ競馬デビュー組が5頭というメンバー構成。岩手でデビューから3連勝を飾るグランコージーが単勝1.4倍の断然人気。ホッカイドウ競馬のデビュー戦で2着同着、岩手初戦で着差以上の強さを見せ勝利したナーリーが4.4倍の2番人気。ホッカイドウ競馬でデビュー勝ちを収め、その後は栄冠賞やウィナーズチャレンジ競走を使われ、もまれてきたホンコンノワールは転入初戦だが9.9倍の3番人気だった。
注目の先行争いは、内枠から好スタートを決めたヨシノフローラが先手を主張も、グランコージー、ウイラニがピッタリとマークするかたちとなり、ラップは、12.5-11.3-11.8-12.2-12.3-12.4-13.1-13.9で、前半3ハロン35秒6、上がり3ハロン39秒4のハイペースとなった。4コーナー手前で人気のグランコージーが手応え良く早くも先頭に立ち、馬場の四分どころを通って直線は力強く突き放す内容の濃い勝利となった。
手綱を取った鈴木祐騎手は、「攻め馬では2歳馬らしくなく、普段は古馬みたいに落ち着いている。それでも今回の追い切りは15秒くらいの入りで行こうと思ったけど、13秒の入りとなって、5ハロン64秒台のタイム。馬なりでしたし放牧明けの前回よりは状態がすごく良くなっているのは感じました。この馬はレースを使うごとに動きが良くなっていますし、乗っていてどんどん成長しているのを感じますね」
6番手から追い上げ、3馬身差の2着だったエイシンハルニレの山本聡哉騎手は、「4コーナーでは手応えはなかったけど、それでも最後まで伸びてくれた。今後につながるレースにはなった」
こちらも差してアタマ差3着のホンコンノワールの山本政聡騎手は、「ピリッとした脚がつかえなかった。初騎乗なので……」
さてグランコージーを管理する櫻田康二調教師は、「次走は中1週で知床賞より南部駒賞(11月10日・盛岡ダート1600メートル)を予定しています。自厩舎のジョッキーで重賞を勝てたこと、青森県産馬で勝ったことも、とてもうれしいですね」。岩手ダービーを獲りたくて、馬主さんが預けてくれたとのことで、調教師の名前“康二”と馬名の“コージー”がかかっているのも気になるところ。
ところで、この若駒賞を1分40秒を切るタイムで勝った馬はそう多くはなく、最近では、のちに岩手ダービー馬となった14年ロールボヌールがいる。生え抜きで4連勝を決めたグランコージーの今後が楽しみだ。インタビューの最後には鈴木騎手が、お決まりの“V”(ヴィクトリー)ポーズで締めてくれた。
Comment
鈴木祐 騎手
内のほうで逃げを主張した馬がいたので、控えていいポジションを取ることができました。今日はペースがかなり速かったのは乗っていて感じましたし、同じ位置にいた馬たちよりは手応えが良かったので、早めに仕掛けました。まだ負けていない馬なので、すごくプレッシャーを感じて緊張しましたね。
櫻田康二 調教師
追い切りの動きが良かったので、これで負けたら仕方がないくらいの状態でレースへ挑みました。今日の馬場は逃げると分が悪いと思ったので、「逃げるな!控える競馬をしてくれ」と(騎手には)言いました。4コーナーでセーフティリードだったので、このときに勝てたかなと思いましたね。