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ダービーシリーズ2019

各地のダービー競走をシリーズ化したダービーシリーズが本年も昨年同様8競走で5月26日(日)の九州ダービー栄城賞から6月19日(水)北海優駿(ダービー)まで行われます。

昨年は、西日本ダービーを大差で制したコーナスフロリダ他、ダービーシリーズで2勝を挙げたスーパージェット、3歳秋のチャンピオンシップで活躍したチャイヤプーンなど、多数の活躍馬を輩出しました。

3歳ダートクラシック路線の頂点であるジャパンダートダービー(JpnⅠ)(7/10大井)に向けて、全国の3歳馬たちが鎬を削る「ダービーシリーズ2019」にご期待ください。

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レース名 実施日 競馬場 距離 地区
九州ダービー栄城賞 5.26(日) 佐賀 2,000m 九州
石川ダービー 6.4(火) 金沢 2,000m 石川
東京ダービー 6.5(水) 大井 2,000m 南関東
兵庫ダービー 6.6(木) 園田 1,870m 兵庫
東北優駿(岩手ダービー) 6.9(日) 水沢 2,000m 岩手
東海ダービー 6.11(火) 名古屋 1,900m 東海
高知優駿 6.16(日) 高知 1,900m 全国
北海優駿(ダービー) 6.19(水) 門別 2,000m 全国
  • 第47回
  • 高知優駿

6.16 (日) 高知 1,900m

地元所属馬が逃げ切り勝ち
 采配の妙が勝利をもたらす

賞金額が一気に上がり、地方全国交流競走となってから3年目。今年の高知優駿には兵庫から2頭、佐賀から2頭が参戦し、九州ダービー栄城賞を圧勝して臨んできたスーパージンガが単勝1.8倍の支持を受けた。続く2番人気は地元のナンヨーオボロヅキ。兵庫所属のアイオブザタイガーが3番人気、同じく兵庫のリリコが4番人気でレースを迎えた。

この日の馬場は、前日までの雨の影響で「内ラチ沿いが使える」(倉兼育康騎手)という状況。各騎手も逃げ先行が有利と認識していたことだろう。そのなかでスタート直後に先手を取ったのは、大外枠のナンヨーオボロヅキ。内枠のコスモアニモーソ、アポロンが続き、スーパージンガとリリコはその直後を追走していった。

その隊列は縦長。向正面の馬場を1周したあたりでリリコとスーパージンガ、さらにスタートで後手を踏んでいたアイオブザタイガーが前を目指して動き始めた。それでもナンヨーオボロヅキは2番手以下に2馬身以上の差を保ったまま。スーパージンガはその流れに乗れず脱落し、4コーナーでは逃げ切りを図るナンヨーオボロヅキと2番手で粘るコスモアニモーソ、そして兵庫2頭の勝負になった。

逃げるナンヨーオボロヅキは直線で一杯になったものの最後まで先頭を譲らず、逃げ切り勝ちを果たした。アイオブザタイガーはゴール前で猛然と伸び、リリコを交わして2番手に上がったが、勝ち馬には半馬身、届かなかった。

ナンヨーオボロヅキは前走で赤岡修次騎手が手綱を取ったが、今回は大井の御神本訓史騎手が起用された。これは「赤岡騎手が乗れないということだったので、それならと」という、雑賀正光調教師のアイデア。御神本騎手は2010年に雑賀厩舎所属で期間限定騎乗をしたことがある。「依頼があったときはちょっと迷ったのですが、高知への感謝の意味を含めて受けさせていただきました」と、その年以来の高知となった御神本騎手。返事を受けた雑賀調教師は喜んで、実況の橋口浩二アナウンサーに報告したそうだ。

さらに調整過程にも工夫があった。「今回の追い切りは全休日の火曜日にやりました。そこから中4日。牝馬ですから、このほうがいいと考えまして」とのこと。さらに「本当は短距離向き」(雑賀調教師)というタイプ。2着に敗れたアイオブザタイガーの大山真吾騎手は「スタートの瞬間に馬が横を向いてしまって。あれがなければ……」と悔しがったが、後続の追い上げを封じることができたのは、雑賀調教師が積み上げてきた采配の賜物と言えるのかもしれない。

一方、スーパージンガは勝ち馬から2秒差での5着。渡辺博文調教師は「結果として攻めきれていなかったのかなあ」と検量室前で肩を落とした。鞍上の真島正徳騎手も「いつもの動きではなかったですね」と意気消沈。それでも今後はグランダム・ジャパン古馬シーズンを目指すとのことで、この経験が糧になることだろう。

高知優駿の表彰式は、ひとつレースをはさんだそのあとに行われた。それが終わり、雑賀調教師は検量室に戻って椅子に座り、しばらく息を整えた。その間も騎手や調教師などと話をしていたのだが、ふと見るとその目はうっすらと赤くにじんでいた。

  • 取材・文
  • 浅野靖典
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

御神本訓史 騎手

過去のレースは映像で見ていました。実際に乗ってみたらとても乗りやすくて素直。あとは自分のリズムを大切にして、ペース判断さえ間違えなければ大丈夫だと思っていました。溜めても持ち味が出ない感じでしたから、少しずつ出していきながらの逃げ。最後は止まりましたが、なんとか残してくれました。

雑賀正光 調教師

本来はスピードタイプで、1900メートルは長いんですよ。それをなんとかしようといろいろと工夫して、それが結果につながりましたから、感無量というところです。食欲がある馬なので、そういうところも強みになりましたね。そして御神本騎手が本当にうまく乗ってくれました。