佐賀の2、3歳重賞路線は昨年度に大幅な変更が行われ、3歳三冠が佐賀皐月賞、九州ダービー栄城賞、ロータスクラウン賞と改められた。また、2歳戦では九州ジュニアチャンピオンが短距離戦となる一方、中距離のカペラ賞が重賞に昇格し、続く3歳2月の飛燕賞も短距離戦へ変更。しかし、昨年の3歳が影響を受けたのは三冠変更のみだったので、現3歳がデビュー当初からこの新重賞路線を進む最初の世代となった。
2歳戦では、門別デビューのニュールックがカペラ賞で、佐賀デビュー馬限定の九州ジュニアチャンピオン上位馬を圧倒。同馬はその後休養したが、その間に同じく門別デビューのスーパージンガが台頭し、3歳2戦目の花吹雪賞(1月20日)で重賞初制覇と、門別からの転入両馬がこの世代をリード。2強の初対戦となった飛燕賞(2月17日)ではニュールックがスーパージンガを3馬身差で降したが、佐賀皐月賞(4月21日)ではスーパージンガがスターオブジーンに4馬身差をつけて勝利。ニュールックは若草賞(名古屋)遠征から回復途上で6着に敗れた。
九州ダービー栄城賞には佐賀皐月賞の上位馬が揃って出走し、新興勢力もこれといって現れなかったためスーパージンガ1強ムード。単勝1.2倍の圧倒的1番人気に推されることとなった。
ニュールックが逃げを打ち、スーパージンガは先行馬群の外め。スターオブジーンが前からやや離れた中団。人気どころは佐賀皐月賞と同じような位置取りに構え、向正面でスーパージンガが前へ進出。4コーナーで先頭に立つと直線で後続を大きく突き放すという、佐賀皐月賞の再現といえる圧勝劇で、3歳二冠目を楽々と奪取。
一方、スーパージンガから5馬身離れた2着争いは混戦となった。2着のムーンパスノキセキから5着ニュールックまで、掲示板内はこれまでの3歳重賞での上位実績馬が占めており、現状の3歳世代の力関係がそのまま結果に表れたと言えそうだ。
スーパージンガは門別から11月に佐賀へ転入し、ここまで9戦して8勝、2着1回となり、九州ダービー栄城賞で重賞4勝目。その重賞4勝での2着との着差は合計20馬身と、佐賀3歳では敵なしの存在となった。管理する渡辺博文調教師は、福山で1986年に騎手デビューし、福山の廃止に伴い2013年4月に佐賀へ移籍。昨年8月に調教師に転身し、調教で初めて跨ったときに「自分が騎手として乗りたいくらい」の衝撃を受けたというのがスーパージンガだったという。同馬で厩舎の初勝利、初重賞制覇、自身の初ダービー制覇(騎手時代も『ダービー』は勝っていないとのこと)とともに歩んでいる。
今後は『ダービーシリーズ』2勝目を目指す高知優駿(6月16日)か、総合優勝の可能性がある『グランダム・ジャパン3歳シーズン』の最終戦・関東オークスJpnⅡ(6月12日・川崎)へ挑戦のプランがあり、全国の舞台での活躍を期待したいところだ。
Comment
真島正徳 騎手
飛燕賞では内で揉まれて負けてしまい、それだけはしたくなかった。今回は2枠なので外へ行きたかったが、ベストの位置が取れて、2コーナーで外へ持ち出した後は不安なく行けました。今日は位置取りだけが問題でした。
渡辺博文 調教師
理想的な仕上がりとなり、最高のパフォーマンスを見せることができました。ロータスクラウン賞も視野に入れていますが、これからは遠征に力を入れていきたい。高知優駿や関東オークスを考えていますが、初輸送なので近い方がいいかなと思っています。