特集
2018ヤングジョッキーズシリーズ
2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。
※下の“タブ”をクリックするとご覧になりたいレースの記事に切り替わります。
Final Round
- 12月28日(金)
- JRA中山競馬場
- ヤングジョッキーズシリーズFR 中山
- ポイント表
リポート動画
2戦とも直線鮮やかに差し切りで決着 大井のリードを守った櫻井騎手が優勝
2018年のヤングジョッキーズシリーズ・ファイナルラウンドは、大井競馬場での戦いを終えて、2日目は中山競馬場が舞台。大井競馬場で行われた1日目は、櫻井光輔騎手(川崎)が50ポイントを獲得してトップとなった。トライアルラウンドでは唯一100ポイント超を獲得した勢いを継続しているかのようだった。
1日目が終了した時点での第2位は荻野極騎手(JRA)で38ポイント。3位は長谷部駿弥騎手(兵庫)で30ポイントとなっていた。
気温は低いものの、空は青く晴れ渡った中山競馬場で、まずは芝2000メートルを舞台に第1戦がスタート。単勝1番人気には服部寿希騎手(JRA)のプレシャスブルーが支持された。近2戦がともに2着という成績は群を抜いて良いのだが、それでも単勝オッズが2.5倍にとどまったのは、このレースが普段とは違う面があるとファンが認識しているからかもしれない。
実際にそれは現実となり、道中は1コーナー手前で少しペースが上がったものの、あとは緩急があまりつかない流れ。先手を取りに行った西村淳也騎手(JRA)が8番人気馬で3着に粘った一方で、2着に入った渡邊竜也騎手(笠松)は6番人気馬で中団から流れ込んだ。そして勝った服部騎手は後方2番手からの大マクリ。最後の直線の入口で大きく横に広がったその展開はやはり、通常のJRAのレースとは違って見えた。
そのなかで、服部騎手は騎乗馬の力量を余すことなく発揮させた。ここまで通算1勝というのは出場騎手のなかで最少。そしてトライアルラウンドでの成績はJRAの西日本地区4位。最終戦の浦和が終了したと同時にファイナルラウンド進出が決定した、いわば“タナボタ”での出場だった。
その勝利に服部騎手は「ここに来られたのは運がよかったから。さらに中山でも勝つことができて」とうれしそう。「次のダート1800メートルは、競馬学校時代の模擬レースで勝ったことがあるので、そこからの連勝を狙っていきます」と目を輝かせた。
2着に入った渡邊騎手は「スタートで挟まれて、馬があわててしまいました。もったいなかったですね」と視線を落としたが、「2回目ですし、気分的に去年よりも余裕があるような気がします」と笑顔を見せた。
悔しそうな表情だったのは、2番人気馬で5着に敗れた長谷部騎手。「理想より後ろからになった分、早仕掛けになってしまって」と話した。
一方、櫻井騎手は8着。向正面では1頭だけ離れた最後方を走り、最後の直線だけで脚を使う戦法を採った。「ここで2ケタ着順を取らなかったのは、優勝に向けて大きいかもしれないですね」と笑った。
続く第2戦は、義英真騎手(JRA)のダノンフォワードが現級での成績的に一枚上で、やや抜けた1番人気。しかし第2戦もまた1コーナー手前だけ速くなり、そのあとは12秒台前半のラップが続く流れになった。そうなると先行した馬が苦しくなるのは当然で、レースのラスト600メートルは40秒5。このクラスにしてはかなり遅い数字だ。
その展開を最大限に生かしたのは松木大地騎手(高知)。道中は先頭集団の後ろで待機し、4コーナーで外に出してしぶとく伸びてきた。「昨日の夜、山本咲希到騎手(北海道)とレースのシミュレーションをしたんですよ。だいたいそのとおりになりましたね」と嬉しそうだった。対して山本騎手は松木騎手より少し前でレースを進めたが、最後に失速して6着。「いろいろな人と話せましたし実りはたくさんありましたが、もっと僕がうまくならないとダメですね」と静かに話した。
2着には木幡巧也騎手(JRA)、3着には落合玄太騎手(北海道)が入り、第1戦を制した服部騎手は7着。
そして櫻井騎手は9着だったが、それでも大井でのリードを守り切って総合優勝に輝いた。第2位も大井での順位と同じく荻野騎手となり、第3位は松木騎手。第4位の服部騎手とのポイント差は、わずか1だった。
このシリーズは2019年度にも実施される予定と発表されている。しかし荻野騎手はJRA通算100勝目の節目が近い。「正直、また出たいですよ」と話したが、表彰式では「来年早々に減量を取って、成績を残せるように頑張っていきたい」と意欲を見せた。
渡邊騎手もヤングジョッキーズシリーズからは卒業。「この2年間のモチベーションでした。それがなくなるのはさみしいですが、この経験を糧にしていきたいです」とコメント。一方、4戦とも2ケタ着順だった吉井章騎手(大井)は「最下位でしたよ」と苦笑い。それでも来年も出場して、巻き返す可能性は十分にある。
地方競馬全国協会理事長賞の副賞として畜産品が贈呈された
取材・文:浅野靖典
写真:いちかんぽ(国分智・早川範雄)
コメント
(川崎)
トライアルラウンドでもファイナルラウンドでも運が良くて、いい馬に乗れたことがいちばんですね。今日は結果的に悔しさが残る内容にはなったのですが、いい経験になりました。初めての芝はすごく気持ちがよかったです。でもスタート直前は、どの騎手もピリピリしている感じがありました。
荻野極騎手
(JRA)
昨日の大井の流れのままで今日も行ければよかったんですけれど、ちょっとイマイチでしたね。でも昨年よりはいい結果でしたし、馬が頑張ってくれたおかげです。個人的にも表彰台を狙っていたので、そこに上がることができてよかったです。いろいろな競馬場で乗ることができて、楽しかったです。
松木大地騎手
(高知)
トライアルラウンドは期間限定騎乗をしていた金沢で連勝できましたし、自分のペースで戦うことができたと思います。師匠の雑賀正光先生のおかげで、いろいろな競馬場で乗ることに慣れているというか、そういうところもプラスになったと思います。3位に滑り込みで入れたのもラッキーでした。