特集
2018ヤングジョッキーズシリーズ
2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。
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Trial Round
- 11月21日(水)
- 浦和競馬場
- ヤングジョッキーズシリーズTR 浦和
- ポイント表
2戦とも地方所属騎手が勝利 櫻井騎手が3勝目で地方1位に
2018年のヤングジョッキーズシリーズは、東日本地区の浦和競馬場での2戦がトライアルラウンドの最終戦。西日本地区は2週前の園田競馬場で全日程が終了したが、ファイナルラウンドに進める騎手がすべて決まったわけではない。地方、JRAともに、獲得したポイントによる順位が最上位の騎手が属する地区の4位までがファイナルに進めるためで、地方では西日本で4位の石堂響騎手(兵庫)が、浦和ラウンドの結果待ち。同様にJRAでは、西日本4位の服部寿希騎手がその対象だ。
という側面はあるものの、レースに臨む各騎手は「ひとつでも上の着順を」という気持ちでいたことだろう。C3クラスのメンバーで行われた第1戦は、成績的にいまひとつの馬が大半だったからなおさらだ。唯一、前走が1着だった馬でも、それが南関東では39戦目に得た初勝利だった。
さらに目をひいたのが、南関東での42戦がすべて4着以下という馬が上位人気になっていたこと(最終的には7番人気)。それは藤田菜七子騎手(JRA)が騎乗するからにほかならぬところで、パドックを囲んだ人の数がいつもの水曜日の浦和競馬場より明らかに多かったことからも、人気の高さを目の当たりにさせられた。
しかしレースは別物。ゲートが開くと木幡巧也騎手(JRA)と木幡初也騎手(JRA)が先手を狙い、インコースからは武藤雅騎手(JRA)と櫻井光輔騎手(川崎)が応戦。その争いはコーナーワークで決着がつき、櫻井騎手が単騎逃げのかたちからスローペースに持ち込むことに成功。そのまま櫻井騎手が逃げ切り勝ちをおさめ、1馬身半差2着にはインコースを回った武藤騎手、先行争いをした木幡巧也騎手がさらに1馬身半差3着に粘った。
これで櫻井騎手はトライアルラウンドで3勝目。レース後は「次で歴代最高得点を目指します」と笑顔を見せた。それと同時に、地方西日本トップの渡邊竜也騎手(笠松)の得点を超えることが確定した。
JRAでは3着に入った木幡巧也騎手のポイント数が、西日本1位の義英真騎手と3ポイント差にまで迫った。木幡巧也騎手は「これで東日本が有利になりましたね」と話したが、最上位になるには第2戦で3着以上に入る必要があった。
一方、11着だった落合玄太騎手(北海道)は、このレースがトライアルラウンドでのラスト騎乗。第1戦の終了時点でポイント数は吉井章騎手(大井)と並ぶ3位でも、勝利数の比較で4位だった。
それがわかっていた落合騎手は「次(第2戦)で岩本(怜)騎手(岩手)が勝ったらマズイなと思いながら見ていました」とのこと。吉井騎手も「次は岩本騎手の隣の枠。彼に楽な競馬をさせないようにしないと」と気を引き締めていた。
第2戦はC2クラスのメンバーで、騎乗合図がかかった時点での単勝1番人気は、またしても藤田騎手。7戦連続で6着以下というその馬は、最終オッズでも3番人気に支持された。
そこは例外としても、馬連複の1番人気が8.4倍という混戦模様。そのなかで先手を取ったのは、大外枠からスタートした赤津和希騎手(浦和)だった。しかし向正面で後続各馬が差を詰めてきたことで「大丈夫かなと思いながら乗っていました」と赤津騎手。その不安は的中し、4番手で流れに乗った山本咲希到騎手(北海道)がゴール直前で先頭に立ち、そこに鈴木祐騎手(岩手)が急追してクビ差とらえて勝利。赤津騎手は3/4馬身差3着だった。
「いやあ、最後の最後にやりましたね」と笑顔の鈴木騎手。山本騎手は最低人気馬での2着だったが「ちょっと追い出しが早かった。不完全燃焼です」と、持ち前の負けず嫌いな面を見せていた。
JRAは木幡巧也騎手が12着になったことで、最上位が西日本の義騎手に決定。東日本4位の木幡育也騎手は、ファイナル進出に届かなかった。
岩本騎手は2着以上ならファイナル進出を獲得できたが、3着から僅差での5着。「最後は接戦でしたから悔しいですね。もうすこし冷静に乗れていたら……」とコメントしていた。逆に東日本4位を確保した落合騎手は、ホッとした表情で「本当にうれしい」と話した。
ファイナルラウンド進出が決まった各騎手は「全部勝つ気持ちでいきたいですね」(山本騎手)、「地元の大井で乗れるのは有利」(吉井騎手)などと意気込みを披露していた。その一方で、ファイナル進出を逃した木村直輝騎手(岩手)は、折しも前日に来年度もヤングジョッキーズシリーズが開催される(予定)と発表されたことで、「僕は来年も減量騎手ですよね?」とマスコミ陣に確認。それだけ若手騎手、とくに地方所属騎手にとって、この舞台は大きなモチベーションになっているのだろう。
取材・文:浅野靖典
写真:宮原政典(いちかんぽ)
コメント
(川崎)
スタート直後はいまひとつでしたが、1コーナー手前でインコースにスペースがあったので先手を取ることができました。砂をかぶるとあまり良くないと聞いていましたから、良かったと思います。道中も後ろからもあまり馬が来なくて楽に逃げられましたから、4コーナーではこれなら大丈夫だろうと思いました。
(岩手)
パドックで乗ったときに、ハマれば伸びるタイプかなと思ったのですが、実際にハマりましたね。うまくインコースを回って抜け出すことができました。自分自身としてのヤングジョッキーズシリーズはこのレースが最後でしたから、勝てて気分がいいですね。それにしても追い過ぎたので腰が痛いです(笑)