特集
2018ヤングジョッキーズシリーズ
2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。
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Trial Round
- 10月16日(火)
- 川崎競馬場
- ヤングジョッキーズシリーズTR 川崎
- ポイント表
木幡巧也騎手と地元の櫻井騎手が勝利 ともにTR2勝目でファイナルへ弾み
東日本地区のヤングジョッキーズシリーズトライアルラウンドは、残すところ川崎と浦和の2カ所。地方所属騎手は最終戦の浦和に10名のうち8名が顔をそろえる予定になっているが、ここまで4戦して31ポイントの中越琉世騎手(川崎)と、同じく4戦で18ポイントの藤田凌騎手(大井)は今回の川崎がラストの予定で、ここで少しでも多くのポイントを獲得しなければという状況だ。
一方のJRA所属騎手は、井上敏樹騎手が今年のトライアルラウンドでのラスト騎乗となる予定。横山武史騎手は前回のトライアルラウンド門別で騎乗予定が終了していたが、山田敬士騎手が騎乗停止になったため、今回の川崎に出場することになった。この2名はこれまでのところ、井上騎手が42ポイント、横山騎手が47ポイントで、東日本地区での3位以内が狙える位置にいる。
武藤雅騎手は怪我で休養していたため、今回の川崎が今年のトライアルラウンドへの初参戦。また、出場を予定していた木幡育也騎手は負傷したため、木幡巧也騎手に変更されることになった。
トライアルラウンド川崎は、第1戦が1500メートルで第2戦が1400メートル。その第1戦は木幡巧也騎手が単勝1.8倍の断然人気に支持された。とはいえ、出走馬のクラスは最下級のC3級で、伏兵多数という感があるメンバー構成。しかし木幡巧也騎手は先手を取りに行った3頭の直後で流れに乗り、早めに仕掛けて押し切るというレースを見せた。
1馬身差の2着に入ったのは、中団追走から徐々に上昇してきた横山騎手。「4コーナーで内か外かで少し迷ってしまって、その分の差ですね」と反省していたが、当初は騎乗する予定がなかった2名が、そのチャンスを活かす結果になった。
続く3着は、2着から5馬身差と離れたが、最後の直線だけで差を詰めてきた落合玄太騎手(北海道)が入線。「前に行きたくても行けなかったのですが、3コーナーあたりからジワジワと伸びてくれました。3着でも着実にポイントを稼げたので良かったです」と、落合騎手は笑顔を見せていた。落合騎手は前半のレースで2回騎乗して、初の川崎となる第1レースで勝利。門別では「たまに左回りで調教をすることがある程度」とのことで、このコース経験が大きな援軍になったようだ。
ひとつレースをはさんで行われた第2戦は、JRAからの転入初戦となる武藤騎手と櫻井光輔騎手(川崎)が上位人気。続いて井上騎手と中越騎手が10倍未満で、そのあとは10倍台に3頭。あとは40倍以上と、やや上下の差がある単勝オッズになった。
ゲートが開くと先行争いが激しくなったが、最内枠のアドバンテージをいかした菊澤一樹騎手(JRA)が先頭に立ち、木幡巧也騎手が2番手に。大外枠からスタートした櫻井騎手はコーナーワークで後れを取ったが、向正面に入ったところで先頭争いに加わった。
その影響か、向正面での流れは速くなり、木幡巧也騎手は早々に脱落。その後は菊澤騎手と櫻井騎手が先頭をほぼ並走する形になり、最後の直線では櫻井騎手が押し切りを狙った。
しかし菊澤騎手も食い下がり、櫻井騎手は後続を突き放せないという展開に。するとゴール直前で落合騎手と武藤騎手が一気に差を詰めてきた。その争いはきわどくなったが、最終的には櫻井騎手が粘り勝ち。2着の落合騎手、3着の武藤騎手、4着の菊澤騎手とは、それぞれクビ差という勝負になった。
櫻井騎手はこれでトライアルラウンド2勝目。「乗る馬が決まったところで、調教に乗せていただいたんです」と、櫻井騎手は地元開催の利点を活かしての勝利になった。2着の落合騎手は川崎で3着、2着とポイントを重ね、ファイナルラウンド進出が狙える位置に上昇してきた。
3着の武藤騎手は「馬を動かしきれなかったです」とポツリ。4着の菊澤騎手は「逃げられましたが、早々に来られて厳しくなってしまいました」と残念そうに話した。
この結果、最終戦の浦和を残した段階で、地方所属騎手の東日本地区は櫻井騎手が80ポイントで暫定1位。そして最終戦の結果次第で、地方所属騎手での最上位が視野に入ることになった。JRA所属騎手の東日本地区では、木幡巧也騎手が78ポイントでトップ。こちらも浦和の結果次第で最上位が狙える状況だ。
地方所属、JRA所属でそれぞれ最上位のポイントを獲得すると、その地区では4位までがファイナルラウンドに進出できる。それだけに東西で行われるトライアルラウンドの最終戦は、ボーダーラインに近い得点状況の騎手たちには勝負どころになる。
取材・文:浅野靖典
写真:早川範雄(いちかんぽ)
コメント
(JRA)
いい位置を取ることができましたし、全体の流れも速いと感じたので、自分から動いていったほうがいいかなと思って、勝負どころから強気に行きました。最後の直線では後ろから1頭近づいてきましたが、そのアドバンテージがあったおかげで最後まで押し切ることがでたと思います。
(川崎)
馬の実力的に自信がありましたし、先頭の馬もしんどそうだったので、早めに動いていきました。4コーナーでは勝てるという手応えがあったのですが、最後は詰め寄られてしまいましたね。でも最後は馬が頑張ってくれました。これでファイナル進出に大きく近づくことができたので、うれしく思います。