特集
グランダム・ジャパン2018
GRANDAME-JAPAN2018
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で8年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ
「GRANDAME-JAPAN2018(グランダム・ジャパン2018)」を実施します。
全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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水沢 1,400m
4コーナー先頭から押し切る
山口調教師も重賞初制覇
禁止薬物陽性馬が発生した岩手競馬は、11月10日から競馬の開催を取り止めていたが、体制を整えた24日の水沢競馬からレースを再開した。その間ダービーグランプリが延期になるなど、岩手県外の馬にも影響が出たが、プリンセスカップは当初から予定された日時に無事実施することができた。ここは登録された6頭すべての他地区所属馬が欠場なく出走、大きな馬体重の変動もなくパドックへ姿を見せたのは幸いだった。
レースは北海道から遠征の5頭が先行集団を形成しての勝負。JRAからの転入後4戦をすべて逃げて3勝、2着1回、単勝1.8倍の1番人気に支持されたロシアンブルーが逃げ、少し間隔をおいて3番人気のシェリーアモールと2番人気のグロリアスカメオ、4番人気のレスプレンデントが追走した。門別の1000、1200メートル戦で前へ行く馬が揃い、レース前半の流れはハイペース。
盛岡開催中に砂の入れ替えを行った水沢コースでの開催は24日に始まったばかりだが、前半600メートル36秒0は、それからの3日間を通しても一番の速いラップタイム。これまでワンターンの競馬しか経験のないロシアンブルーの逃げは意外にも3コーナーでつかまり、2番手につけたシェリーアモールの山本聡哉騎手は「うしろの馬(グロリアスカメオ)の手応えが良く、押し出されて」と4コーナーで先頭に立つ。「(これまで門別での騎乗で)直線甘くなるところがあるが、ここまできたら頑張るしかない」と腹をくくっての直線勝負。最後の200メートルは14秒8とバッタリ止まってはいるが、良い感じで追走してきたように見えたグロリアスカメオらを逆に1馬身半突き放してゴール。シェリーアモールだけでなく、山口竜一調教師にも初重賞のタイトルとなった。
山本騎手はシェリーアモールに、このプリンセスカップで4回目の騎乗。すでに門別の重賞レースで3回騎乗しており「クセも分かっていて安心感があった」と。山口調教師も「作戦は地元のジョッキーに任せていた」と乗り慣れた主戦騎手が騎乗するかのように答えていた。
2010年に山本騎手が笠松で期間限定騎乗した際、同時期に当時現役だった山口騎手も東海地区で期間限定騎乗しており、山本騎手が「ずっとお世話になった」という縁もあった。地区の境界を越えて全国地方競馬の重賞レースは、頻繁に人馬が交流する時代。山口調教師・山本騎手のコンビで、重賞タイトルを目指す馬が今後出てきたとしても、驚くようなことではないだろう。
プリンセスカップの出走馬に、ここまでのグランダム・ジャパン(GDJ)2歳シーズンで大きなポイントを獲得していた馬はいなかったが、シェリーアモールはここで15ポイントを加算。翌日に川崎でポイント獲得上位馬が多数出走するローレル賞が行われるが、現時点では暫定2位タイ、上位入賞が可能な位置に浮上した。次走に予定する、GDJ最終戦の東京2歳優駿牝馬では厳しいメンバーになることが予想されるが、そこでの健闘も期待したい。
取材・文:深田桂一
写真:佐藤到(いちかんぽ)
コメント
ロシアンブルーが速かったので2番手からでしたが、うしろの馬の手応えが良く、押し出されて先頭に立つようなかたちになって、ここまできたら頑張るしかないと思いました。これまで3回乗ってクセは分かっているので安心感がありましたし、馬体が減らずに出走できたのも良かったと思います。
ロシアンブルーを行かせて2番手からでしたが、外なら逃げなくても大丈夫。速い流れになったので、折り合いがつきました。3走前に後退してしまったのは、初めて砂を被ってしまったから。戦法は地元のジョッキーですから任せていました。次走は12月31日の東京2歳優駿牝馬へエントリーします。