特集
グランダム・ジャパン2018
GRANDAME-JAPAN2018
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で8年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ
「GRANDAME-JAPAN2018(グランダム・ジャパン2018)」を実施します。
全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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金沢 1,500m
一騎打ちをクビ差で制す
2年連続道営馬がワンツー
金沢シンデレラカップの当日は、未明から朝まで雨。その影響で第1レースから不良馬場になった。しかも、馬場のあちらこちらに水たまりができているというコンディション。走破タイムも重馬場で行われた2日前よりも、1秒から2秒ほど速くなっていた。
象徴的だったのが第7レースで、1着になったトサイチ(吉原寛人騎手)がスタートから馬群の外を走り、向正面からは1頭だけポツンと馬場の中央付近を通ってきたのだ。
「実際、通りたいところは最内と真ん中あたり。でも、真ん中を通るのは勇気がいりますよね」と話してくれたのは藤田弘治騎手。「今日の馬場はちょっと特殊」ということを裏付けるかのようなレースだった。
そうなると、各騎手も前に行きたいと考えるのは当然だろう。金沢シンデレラカップのゲートが開くと、ブレイクフリー、ビーコンプリート、エムティーマリーが先手を主張。しかし北海道のブレイクフリーが一枚上のスピードを見せて先頭に立った。同じ角川秀樹厩舎のパレスラブリーは好スタートから少し控えたが、1コーナーからは先行集団をマークする位置取りに。その直後にロンギングルックがつけ、愛知から参戦のリードメロディーは中団に構えた。
その流れは速かったようで、ブレイクフリーと先手を争った2頭は3コーナーあたりから苦しくなった。代わってパレスラブリーが自然なかたちで2番手に上がり、そこにインコースからロンギングルック、アウトコースからリードメロディーが加わってきた。
最後の直線に入ったあたりでは、その4頭の争いという様相。しかしそこから逃げるブレイクフリーが加速して、それを目標にパレスラブリーも差を詰めにかかった。そして最後のおよそ100メートルは2頭の一騎打ち。最後はクビ差だけパレスラブリーが先着した。
パレスラブリーの畑中信司騎手は、本馬場から検量室前のエリアに入ったところで満面の笑み。昨年から今春まで韓国のソウル競馬場で短期免許を取得し騎乗していたが、この勝利が日本に戻ってから初めての重賞制覇になった。
2着惜敗のブレイクフリーは「うしろの馬を待つようなところがありました」と吉原騎手。その話に「兄のヤマノカミ(金沢で兼六園ジュニアカップ2着、金沢ヤングチャンピオン1着)と同じような面がある」と角川調教師が答えると、吉原騎手はなるほどという表情。今後は水沢のプリンセスカップを視野に入れていくそうだ。
2着から4馬身差の3着には地元のロンギングルックが入線。「大外枠は厳しかったですが、うまくインコースに入れました。他の馬を怖がる面があって、今回はゲート再審査明けでしたが、思った以上に走れましたね」と、中島龍也騎手は今後への手ごたえをつかんだ様子。
4着のリードメロディーは、加藤聡一騎手が「調教を強化したので馬体重は想定内。ただ、馬が金沢の砂を嫌がっていたのが想定外でした」とコメント。今後は地元のJRA認定戦を視野に入れていくそうだ。
これで金沢シンデレラカップは、昨年が3着まで北海道所属馬で、今年はワンツーという結果。角川調教師は「来年もまた来たいですね」と結んだ。
取材・文:浅野靖典
写真:宮原政典(いちかんぽ)
コメント
道中は4番手あたりでという、指示どおりの位置でレースを進められました。不良馬場で走りにくそうにはしていましたが、最後まで手応えは良かったです。素直なタイプで、並んでからもしぶとく伸びてくれましたから、どんな競馬でもできそう。僕にとって久しぶりの重賞勝利なのでうれしいです。
昨年も挑戦しましたが3着に負けてしまったので、今年は勝ちたいと思っていました。ブレイクフリーが逃げて、パレスラブリーは4番手あたりからと考えていた、そのとおりのレース展開になりましたね。騎手も指示どおりにうまく乗ってくれました。今後の予定は帰ってから考えます。