道悪でも持ち味の末脚発揮
地元の伏兵が一矢報いる勝利

　グランダム・ジャパン2歳シーズンの初戦。昨年は北海道からの遠征馬が上位3着まで独占という結果で、今年もその北海道から4頭が遠征。しかし断然人気となったのは、デビューからの3戦すべて大差圧勝という金沢のワンモアグローリーだった。
　この日の園田競馬場は1日中雨が降り続き、馬場は泥田のような状態。キャリアの浅い2歳牝馬には過酷なレースとなった。
　全馬ゲート入りが完了してもゲートの中でうるさい馬がいて、それが何頭かに連鎖し、ゲートが開くまでに少し待たされた。そのうるさかった中の1頭、ピースタップがスタートで外によれたことで隣のピュアドリーマーが大きく位置取りを下げ、さらに外のワンモアグローリーにも馬体がぶつかっていた。大外のリリコは躓いて後方から。そしてスタンド前の直線、ワンモアグローリーは初めて泥をかぶった影響もあったのだろう、池田敦騎手は制御するのに必死な様子。2番手につけたグロリアスカメオは1コーナーを回りきれず外に大きく膨れてしまった。吉原寛人騎手は「返し馬から馬場を気にしていて抑えがきかなかった」と。
　2コーナーを回るあたりでようやく流れが落ち着いて、先頭はブレイクフリー。ぴたりと2番手につけて折り合いがついたかに見えたワンモアグローリーだったが、向正面半ば過ぎから突然脚の運びがバラバラになってずるずると後退。地元馬では人気最上位（4番人気）のアヴニールレーヴも3番手を追走していたが徐々に後退した。
　その2頭と入れ替わるように、中団から一気に位置取りを上げてきたのが2番人気のピュアドリーマー。4コーナー手前で先頭のブレイクフリーに並びかけると、北海道勢2頭の一騎打ちになるかに思われた。しかしさらにうしろから追ってきた地元兵庫のリリコが直線半ばで2頭をとらえると、そのまま突き放してのゴール。鞍上の吉村智洋騎手は、昨年のサラヒメ（北海道）に続く連覇となった。2馬身半差の2着にピュアドリーマーで、ブレイクフリーはアタマ差で3着だった。
　1、2着馬には冒頭で触れたとおりスタートでのアクシデントがあり、3着のブレイクフリーにしても「ハナに行ったらハミをとらなかった。行かないほうがよかったかも」と角川秀樹調教師。注目のワンモアグローリーは、4コーナーですでに離れた最後方で、最後は歩くような感じでのゴール。馬場状態の影響もあり、まともに走れた馬は1頭もいなかったのではないかと思えるレースだった。
　勝ったリリコにしても、「この馬場は想定外。とりあえず自分の競馬で、次の兵庫若駒賞につながる競馬をしてくれという指示をしました。ゲートを出た瞬間に躓いて、落ちそうになったのが見えて、上りでどれくらいの脚を使ってくれるかを見ようと思っていました」と田中範雄調教師。しかしここを勝ったことで、ひとまず目標としていた兵庫若駒賞（10月18日）は回避の方向。脚元の状態を見ながら、その先、金沢シンデレラカップ（11月6日・金沢）やラブミーチャン記念（11月8日・笠松）などグランダム・ジャパン2歳シーズンを狙っていくことになるようだ。