早めに前をとらえ直線抜け出す
圧巻のレースぶりで三冠制覇へ

　ダービーウイークの第2弾は、ホッカイドウ競馬の二冠目となる北海優駿。この日の門別地方は夕方に強い雨という予報が出ていたとおり、第6レース、フレッシュチャレンジのパドックで降り出した雨は、すぐに雷をともなう横殴りの豪雨となった。その後も傘がなければずぶ濡れになるほどの雨が降り続いたが、準メイン第11レースの発走前になってようやく厚い雨雲が行き過ぎた。雨はピタリと止んで、北海優駿を迎えることとなった。
　単勝1.4倍の断然人気に支持されたのは、一冠目の北斗盃を制したスティールキング。その北斗盃が重賞初勝利だったが、ブリーダーズゴールドジュニアカップ、サンライズカップ、さらには北海道2歳優駿JpnⅢでいずれも2着と、2歳時から世代トップを争う実力を示していた。単勝3.0倍で続いたのがジャストフォファンで、北斗盃2着のあと北海優駿トライアルを4馬身差で快勝。ともに、昨シーズンもホッカイドウ競馬の2歳戦線で圧倒的な活躍を見せた角川秀樹厩舎の所属馬。ほかに目立った新興勢力もなく、この2頭に人気が集中した。
　予想通り、押し出されるようにハナに立ったのはジャストフォファン。スティールキングの桑村真明騎手は、「2000メートルは初めてなので折り合いをつけられれば」と5番手に控えてレースを進めた。
　3コーナー、先頭のジャストフォファンに、2番手のフジノパンサーが並びかけ、さらに外から余裕の手ごたえで進出してきたのがスティールキング。4コーナーではフジノパンサーが脱落。直線を向いてもジャストフォファンが粘っていたが、手ごたえの差は歴然だった。堂々と先頭に立ったスティールキングが、まったく危なげのないレースぶりで二冠達成となった。
　2馬身半差の2着には、中団から位置取りを上げてきていたキングニミッツが入り、ジャストフォファンはさらに2馬身半差がついての3着。北斗盃の上位3頭が、2着3着の着順を入れ替えての決着となった。
　スティールキングは2歳時の戦績を考えれば、シーズン終了後に中央や南関東に移籍してもおかしくない実力。しかしオーナーと協議した結果、北海道にとどまって三冠を目指すことになったと角川調教師。ホッカイドウ競馬では、今年から3歳三冠を制した馬に2000万円のボーナス（二冠の場合は250万円）が支給されることがシーズン前に発表されていた。そのことも少なからず移籍せずにとどまる後押しになったものと思われる。
　それにしてもスティールキングの勝ちタイム2分6秒0は、雨でタイムが出やすい馬場（重馬場）になっていたにしても出色だ。北海優駿が門別2000mで行われるようになった過去7年で、もっとも速い勝ちタイムが2013年ミータローの2分9秒9だから、それを4秒近く上回った。三冠のかかる王冠賞（1800メートル）は7月28日だ。
　「まずは三冠。そのあとは、今年なのか、来年なのか、再来年になるのか、馬主さんとは道営記念を勝つまで使おうという話もしています」と角川調教師。どうやらスティールキングはそれほどの器のようだ。