スタート後手も一気に先頭を奪取
3コーナーから後続を突き放し圧勝

　ダービーウイークは、これまでほぼ1週間の集中開催で行われてきたが、今年は5月29日の九州ダービー栄城賞（佐賀）から、6月16日の兵庫ダービー（園田）まで、約半月の期間をかけて行われることとなった。その中で九州ダービー栄城賞は、これまで同様の日程で行われ、3年連続となるJRAの日本ダービーと同日開催。その日本ダービーを勝ったマカヒキの鞍上は、佐賀競馬場で生まれ育った川田将雅騎手。残念ながら川田騎手の父、川田孝好調教師の管理馬は栄城賞への出走がなく、父子の“ダブルダービー”同日制覇の可能性はなかったが、佐賀競馬場はあいにくの雨模様にもかかわらず、大きな盛り上がりを見せてのダービーウイーク開幕となった。
　佐賀の2・3歳戦線は、九州ジュニアチャンピオンなど、“佐賀デビュー馬”限定戦が組まれているが、この路線からは九州ジュニアチャンピオンを勝ったソウダイショウが3歳春に岩手へ転出、同2着のオスズもその後は不振。3歳になってからの活躍馬が出ず、栄城賞に佐賀デビュー馬は駒を進めることができなかった。
　一方、9月に門別から転入したドンプリムローズがここまで7戦6勝の大活躍。2月の飛燕賞で同馬に3馬身差をつけて勝利したサプールも門別デビュー馬と、例年以上に他地区デビュー馬が強力な情勢となった。
　ドンプリムローズがスタートでやや遅れたものの、すぐに内から位置取りを上げていき、一旦はハナをうかがったスイシンを交わして先頭へ。すぐに隊列は落ち着き、サプールは中団からのレース運び。向正面に入ると逃げるドンプリムローズから5番手のサプールまでの一団が後続との差を広げ、優勝争いはこの5頭に絞られていった。
　しかし、先頭のドンプリムローズの脚色が良く、3コーナーでは単騎抜け出しの態勢へ持ち込み、直線でもそのまま押し切っての勝利。4馬身離れた2番手争いは、鞍上に金沢の吉原寛人騎手を配したオダツがスイシンを交わして2着を確保し、人気の一角サプールは4着に終わった。
　ドンプリムローズは、佐賀転入後は連勝を重ねていたが、1月の花吹雪賞では辛勝。2月の飛燕賞は2着敗退と、やや勢いに陰りが見える時期もあった。しかしその後、ル・プランタン賞では兵庫、笠松勢を相手に勝利し、改めて能力の高さを証明していた。真島正徳騎手、真島元徳調教師は、ともにダンシングスキー（2005年）以来となる栄城賞4勝目。4勝すべて両名の師弟コンビで制している。うち、シゲノキューティー（1999年）とスーパーセタリオン（2000年）の2頭も牝馬での勝利で、栄城賞後はダートグレードへ挑戦している。ドンプリムローズにも同様の期待がかかるが、「牝馬なので無理使いはできないし、まずは馬体を戻したい。秋の大きいところへ行きます」（真島調教師）とのことで、大舞台への飛躍も、それほど先の話ではなさそうだ。