「勝つもクビ差、負けるもクビ差の叩き合い」
1996年新潟ダービー・東北優駿　スターライフ・ラストヒット

第19回 東北優駿 Movie（映像ファイルサイズ：８ＭＢ）

　新潟ダービーとしたが、この年の新潟県競馬、春のクラシック戦線は、まさに接戦の連続であった。
　２歳時は後に大井へ移籍し東京３歳優駿牝馬に勝つハイフレンドムーンが圧倒的に強かったが、それが移籍した後新潟ジュニアに勝ち、東北３歳サラブレッドチャンピオンで岩手のテツノジョージを差し切って勝ったリーダードリームが中心視されていた。
　シーズンオフが終わりシーズンが開幕。三条競馬場で行われた新潟皐月賞では、そのリーダードリームは当然のように１番人気に推されるも、冬を越しての調整がひと息で、スターライフとテクノヴァリューとの３頭で争い、ゴール前までもつれるレースに。結果、スターライフとテクノヴァリューが同着。リーダードリームはクビ差３着に敗れていた。
　それから25日後。場所を新潟競馬場に移し、再び相まみえた新潟ダービー。このレースも接戦となった。
　好枠１番枠からウイニングリバーがハナを切る。そしてその直後に、５番人気ラストヒットと１番人気に推されたスターライフが並んで２番手、さらにその直後に２番人気と人気を落としたリーダードリームが追走、といった態勢。
　レースはスローペースで流れる。折り合いに不安あるスターライフは、逃げ馬の後ろでなだめるように、そして内のラストヒットにフタをするように、慎重に駒を進める。３コーナー手前でラストヒットが逃げるウイニングリバーを捉えに行く。山田信大騎手が「最高の手応え」と言ったスターライフも、前２頭に並びかけ、そして交わしにかかる。リーダードリームは酒井忍騎手が激しく叱咤するも勢いなく、エンジェルワルツ、ラッキーブライアンらと３～４番手争いを強いられる。
　直線を向いて、内ラストヒットと外スターライフの一騎打ちに。「勝負根性のある馬だったので、並んだ時は勝てると思いました」と山田信大騎手。激しい叩き合いはゴールまで続いたが、スターライフがクビ差交わしてガッツポーズでゴールした。３着にエンジェルワルツだったが、２着とは８馬身の差がついていた。
　この勝負には続きがある。接戦の新潟ダービーから28日後。舞台は上山競馬場で行われた東北優駿。新潟代表として赴いたスターライフとラストヒットは、ここでもクビ差の激戦を繰り広げる。
　岩手から６戦５勝のウエストサンボーイ、そしてそのウエストサンボーイに唯一土を付けたブルーレフティー。地元上山からはハナを切ると目されたマウンドギャロップなど。
　スタートしてマウンドギャロップがダッシュ付かず。ラストヒットとスターライフの新潟勢に、ブルーレフティーが続く“想定外”の流れに。１周目のスタンド前でマウンドギャロップが強引に追い上げ先頭に立つが、そこまで無理に脚を使っていただけに、天下は３コーナー手前まで。残り600ｍから、新潟ダービーと同様スターライフが先頭に立ち、ラストヒットがそれに続いた。
　直線は再び２頭の一騎打ちだったが、内のスターライフに、外のラストヒットは馬体を併せず、内外離れての勝負に。「スターライフは併せると渋太いので、意識的に馬体を離して追いました」と騎乗した阿部騎手。
　一旦抜け出すラストヒット、そしてゴール際再度差し返しにきたスターライフ。またもクビ差！勝利の女神はラストに微笑んだ。
　その後この２頭は金沢のサラブレッドチャレンジカップで再戦したが、10ヵ月振りのレースを制した金沢の怪物プライムキングの前にスターライフ２着、ラストヒット７着に敗れる。ラストヒットは中央競馬、そして大井へ、スターライフは笠松から船橋、荒尾へと移籍。両者が再び相まみえることは残念ながらなかった。

第19回 東北優駿　平成8年（1996年）6月23日
サラ系4歳　1着賞金900万円　上山1,800ｍ　晴・稍重
着順	枠番	馬番	馬名	所属	性齢	重量	騎手	タイム・着差	人気
1	4	4	ラストヒット	新潟	牝4	53	阿部　正義	1:57:04	5
2	1	1	スターライフ	新潟	牡4	54	山田　信大	首	1
3	2	2	ウエストサンボーイ	岩手	牡4	54	菅原　勲	5	2
4	7	7	ブルーレフティー	岩手	牡4	54	山本裕次郎	1	3
5	8	9	パレスギフト	上山	牡4	54	千場　俊彦	4	9
6	8	8	マウントギャロップ	上山	牡4	54	前野　幸一	5	4
7	6	6	ニイタカクリーク	上山	牝4	53	小国　博行	2	8
8	5	5	ダイテンボシ	上山	牡4	54	海方　栄二	5	7
9	3	3	グランドレーシング	上山	牝4	53	山田　延由	1/2	6
払戻金　　単勝920円　　複勝310円・230円・130円　　枠連複930円

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