道悪もマイペースの逃げ
後続を振り切り重賞連勝

　この日の川崎競馬場は冷たい雨が降り続いた。メインレースの頃には小雨に変わって傘がなくとも観戦できたことは幸いだったが、ビチャビチャに水が浮く不良馬場は変わらない。今年から地方交流戦となった2歳牝馬のローレル賞は、うら若き乙女たちにひとつの試練を与えたとも言える。
　そんな中、御神本訓史騎手騎乗の1番人気ドラゴンシップが初コースを逃げ切り、ハイセイコー記念に続いて重賞2連勝を飾った。ハイセイコー記念では15年ぶりに牝馬優勝を果たしたばかりで（96年のセイントサブリナ以来）、強い馬はどんな条件でもどんなコンディションでも力を発揮できることを改めて証明してくれたように思う。
　「川島先生からは、こういう馬場だし前のほうで競馬をして欲しいと指示を受けました」（御神本騎手）。好枠と持ち前のスピードを生かしてハナに立つと、終始マイペースの逃げで進めていった。「折り合って気持ち良く走っていたし、理想通りの展開になりました」（御神本騎手）
　ドラゴンシップは、これまでも追い出してからフワッと気を抜く課題はあったのだが、「前回よりも大丈夫でした。後ろからくればまた伸びる感じだったし、手応えも良かったから（他馬が追い込んできても）そんなに気になりませんでした」（御神本騎手）。真島大輔騎手のショコラヴェリーヌが猛追してくるも3/4馬身差で振り切った。
　ドラゴンシップは2歳牝馬らしからぬ気性が何より魅力だ。思い出すのは新馬戦のこと。優勝を決めて口取り撮影の準備をしている時、ハロー車が目の前をスッと横切った。普通はそれに驚く馬も多いのだが、ドラゴンシップは何事もなかったかのようにドッシリと涼しげに構えていた。ローレル賞でも初コースとは思えぬほど落ち着き払っていた姿は印象に残る。生まれ持ったこの気性は、これから最大の強みになるだろう。クロフネ産駒の芦毛馬で、ルックス的にも人気を集めそうだ。
　一方で、2着だったショコラヴェリーヌも負けてなお強しの内容だった。スタートで遅れ後方から進めるも、道中は馬群の中をぬうように上がっていき、最後はあの不良馬場でも僅差まで追いつめた。2歳牝馬がなかなかできる芸当ではない。普段の調教では馬場を回らない個性派でもあるのだが、レースに行けばそんな心配も皆無の実戦型。スケールの大きな走りをしているこの馬も追い続けたいと思う。
　南関東3歳牝馬はクラーベセクレタやナターレなどが牡馬に勝る活躍を見せてきたが、今年の2歳牝馬からも目が離せない。